-11- 二学期

始業式の日。真夏が教室に入ると、クラスの子達が真夏をチラッと見た。

何か、いつもと様子が違うのを感じた。でも、どうしたのか、真夏が聞けるような友達はいなかった。


放課後、真夏は担任の先生に声をかけられた。

「加藤さん、今、生徒指導室で面談出来る?」

「…はい。」

真夏は、何が起きたか、全く理解出来ないでいた。


「夏休みの間に、加藤さんがホテル街に大人の男性といたという噂が、広まっているのよ。」

「あ…」

「加藤さんとその人は、どういう関係なのか、教えて欲しいの。」

「…それが、私にも分からなくて。高1の時は、塾の先生と生徒でした。」

「変なことはしてない?」

「映画を観ただけなので。してないです。」

「加藤さんは、問題のない生徒だと思っていたけど、例え何もないとしても、誤解されるようなことは、今後やめた方が、クラスの中の人間関係にもいいと思うの。その大人の人も、本当にいい人かどうか分からないし。」

「安西先生は、いい人です!」

「気持ちは分かるわよ。でも、大人になると、カモフラージュが上手くなるから。気を付けてね。」


もしかしたら、昌彦は、下心だけで優しくしてくれるのかもしれない。真夏は、家に向かって歩きながら、混乱していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る