-2- 再会

「加藤、水着がオカンだぞ」

「だって、私、オカンだもん。」

「え、あの噂、本当だったんだ。」

「うん。」


「ママー、お腹すいたー。あ、この人、誰?」

私の初恋の人。喉まで出掛かった。

「ママの友達。」

「大きくなったな、小僧。」

「赤ちゃんの時、知らないでしょ。」

「いや、もっと前、お腹にいた頃を知っている。」

相変わらず、口から先に生まれて・・・真夏は、じんわり熱くなる頭を自然に受け入れていた。

「洋服着てるみたいだけど、海で何してるの?」

「ナンパ。LINE交換しない?」

普通の友達なら、交換していいんだろうな。でも、大星は。

しばらく戸惑っていると、裕太が、

「ママの友達、ずっと待ってるよ。」

と、言った。よりによって、息子の声かけで、真夏は初恋の片想いだった相手とLINEを交換することになってしまった。昌彦は、パラソルから、怪訝そうに真夏達を眺めていたが、

「真夏、大丈夫?」

近付いて来て、声を掛けた。

「この人、ママの友達。ナンパしに来たんだって!ねえ、パパ、ナンパって何?」

大星は、思わず、苦笑いして、立ち去って行った。

昌彦が、

「真夏の同級生なのかな?裕太のせいで、恥ずかしい思いをさせてしまったね。」

なんの憂いもなく、ガハハと笑っている昌彦。真夏は、その笑顔に、素直に笑い返すことが出来なかった。手には、大星とLINEを交換したスマートフォンが、握られていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る