第8話 更年期の女神と
「……と、いうわけなんです。」
伊勢神宮の本殿のなかで、俺は
今回、
そんな俺を見かねたオロチが、行きの馬車の中で、
「知っていることはほとんど包み隠さずに言ったほうがいいと思います。ただ、
と教えてくれたので、その指示通り伝えたつもりだ。
ちらっとオロチを見てみると満足そうに一つうなずいている。
どうやらマズくはなかったようだ。
オロチ様々である。
しかし、一方の
「
不安になって声をかけるとこちらを向いて、
「なるほど話はわかった。要するに日本を統一したいから私に仲間になるようにということだな。」
「はい。」
「ふむ。私もこの、神同士がいがみ合っている状況は好ましくないと思っていた。それを解決できるなら日本を統一するというのもアリかもしれないな。」
「それでは、協力してくれるということですか?」
思った以上の手応えに身を乗り出して聞く。
期待するのも無理はない。
地方神である
「うむ。貴殿が私の支配下となって、一緒に日本を平定しようではないか!」
―――ニヤリと笑いながらそういった。
「え?で、でも!」
「なにか不都合なことでもあるかな?」
相変わらずニヤニヤしながら、
「大宮神は奈良県の県神という立場から日本統一を目指そうとしているのだろう?そうすると、今回のように目上の地方神に話を通してから他の県神と話さなければならない。大変な労力がかかるだろう。他方自分のような地方神がこの役目をすると、毎回スムーズに各神と交渉できるようになる。悪い話ではないと思うが」
勝ち誇ったように自分の主張を言い切る
ただ、できるだけ早く統一しなければならないと知っているのは俺しかいないため、それはできないのだ。
だから、やんわりと断らないといけない。
「でも、この計画を提案したのは僕なわけであって、僕以外がこの計画の音頭を取るというのは」
「なにか文句でも?」
醸し出るオーラが強くなった。
怒っているようだ。
こんなことで急に⁉と思ってしまうが、そういえばこの
だまっていることが面白くないと感じたのか、チッと舌打ちしながら立ち上がる。
「それに納得できないようじゃしょうがないな。今回の話はなしということにしよう。」
また気が変わったら、私のところに来い。
そう言い残して、
「手強いな…」
オロチと二人残された本殿で独りごちる。
どうやら一筋縄には行かないらしい。
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