第7話 最初の戦い
「………み。……やか…。おき……さい」
「んん―」
「大宮神!起きてください!」
「っ!ああ、オロチか。起こしてくれてありがとうね。」
「いえいえ、これくらいのことならいつでもお任せください。」
ニコっと笑ってから、地表に出ていく。
その背中を見ながら翼はつくづく思った。
――昨日のうちに朝起こしてもらうよう頼んでおいてよかった、と。
古代に来て初日だし、何より地中で寝るわけだからあまり眠れないかもしれないとは思っていた。オロチに起こしてもらうよう頼んでいたのも念のために過ぎなかった。
ところがどうだ、オロチが奴隷の蛇に作らせた寝床は、地面が土なのにも関わらずふかふかで横になった数秒後には夢の世界にいざなわれてしまうような代物だった。
オロチ、すごすぎるだろ…!
現代の大工さんも歯ぎしりしそうなクオリティーに俺は笑えてきてしまうのであった。
◇◇◇
「大宮神!到着しました!」
「おお…」
その後、昨日と同じように馬車に乗って楽々輸送された俺は鳥居の前に馬車から降りた。
自分が現代で見てきたどの神社よりもきれいに立てられているその神社に呆然としてしまう。
「大宮神!そんなところに突っ立ってないで早く行きますよ!きっと
「そ、そうだな…よしっ!」
自分もこの世界では神様だとはいえ、他の神様と会うのは緊張してしまう。
昨日までは神様は一方的に祀り、お願いを聞いてもらう存在だと思っていた。
でもそんな存在と今から会おうとしているのだ。
緊張しないわけがない。
だけど。それでも。
今から
敬意は忘れてはならないが、必要以上にへりくだってはならない。足元を見られてはならないのだ。
鳥居をくぐる。
するとそこには一人の巫女が立っていた。
ゆっくりと振り返る。
その行為はなめらかである一方、近づく隙をみるものに与えない。
只者ではない。
一つの挙措だけでわかり、身構える。
凛とした声が聞こえる。
「はじめまして大宮神。私が三重県の県神で近畿地方の地方神の
わかり易い言葉で言うと威圧感という鎧を身にまとっているような感じだ。
足が竦む。
今にも後ろに戻りたい
でも
「よろしくおねがいします、
口角を無理やり上げて
俺は早く現代に帰りたいんだ。
そのために一刻も早く日本を統一しなければならない。
その事を考えたら、ここで尻込みしている時間なんてないんだ。
そしてニヤリと微笑んで、
「よろしくな」
右手を取ってきた。
「やるな小僧」と口パクで言っていたのを俺は見逃していない。
いざ、勝負っ!
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