返却

「悪いけど返すよ。

なんか、他のひとにもしあれだったらあげて

よ。ごめん」


「そんな…シンジのために作ったんだけど?」


懇願するような目で見てきて、俺は面食らった。


それでも、ハルの悪口を聞かされた俺は気分が悪いから、一言だけ言っといた。


「多分、当分のあいだは別れないと思う」


続けて


「それにな、今度の定期考査いい点取ったら、

俺、童貞卒業できるんだってよ」


まるで人ごとのようにそう言い放ったら、

なんか、気が楽になった。


ヒナタが、急に顔色をさーっと変えたのだ。

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