第11話:虐待が子供を壊す ②
そして、私立校が近隣の学校に対して「良いお子さんはいませんか?」と広報活動をして、子供たちを集めたいという気持ちは常に持っており、そこで合点が合う事が理想だが、現在は経済的な理由から教育環境が制限されてしまうこともあり、なかなか合点が合わないことが増えてきた。
そのうえ、現在は特待生制度や奨学金制度など学習における経済支援が整備され、経済的な理由で進学を断念することがないようになっている。
しかし、これらの背景にあるのは“優秀な生徒を獲得したい”という学校側の意図と“良い学校に進学するために勉学に励みたい”という子供側の希望に寄り添いたいという教育的観点があると思う。
そして、昨今において急速に進む少子化により求める生徒像を持てない学校も増えており、少しでも良い生徒を確保し、自分たちのブランドイメージを維持したいという気持ちは変わらない。
そのため、学校のブランドイメージにインパクトを与える意味でも昨今の受験競争が教育環境を更に成長させる起爆剤になるということもあるが、一方で新たな学校の増加により子供数が少ない地域では子供の獲得が容易ではないことや地域を広げることで子供たちの通学に対する負担やスクールバスなどの運行に際して委託費が高額になるなどマイナスに繋がる可能性がある。
現在、同じ地域でも場所によっては過疎化が急速に進み、教育施設の設置状況の把握と設置計画の見直しや複数校の統廃合計画を進めるなど子供たちの選択が狭くなりかねない状況が深刻になり、利便性の高い地域に住んでいる子供に関しては成績の良い子供たちが近隣の進学校やそのエリアの進学校などに流れる傾向が顕著になっている。
そのため、親も先生も難しい選択を迫られる回数が以前に比べて増加傾向にあると感じている。
その理由として、その学校の児童・生徒が区外の学校に進学する場合、多くの人が“成績が良い子を確実に合格させて進学実績として学校に残さないといけない”というプレッシャーであり、自分の教員評価やその学校に勤務している教職員のステップアップする際に“この学校の先生は○○中学校に毎年合格させている”などの相手に対してメリットになる情報を提示して、良い印象を持たせる事が可能となり、異動などの際に有利に働くことが多くなっていく。
しかしながら、このような状況が定常化し、優秀教員や優秀児童・生徒が増えることで“その先生に担任になって欲しい”や“○○さんがいる学校に行きたい”など当該の先生や児童・生徒が卒業したと言うだけで親が越境入学を目指して、子供たちが集まりやすくなる事が懸念される。
このような事態に発展し、ある地域では越境入学の児童・生徒が増加し、特定の学校に集中したことでその学校の教室数が足りないという事態になり、学校を増築しなくてはいけなくなる、校外学習や宿泊学習の手配など以前に比べるとかなり忙しくなる可能性や各学年において子供間の交流機会が全体になくなるなど学習面の問題や学校生活における人間関係の問題などが起きやすい状況も見受けられており、教職員の個人負担が大きくなることが想定される。
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