第8話:虐待が生む負の産物 ⑥

しかし、これらの変化が逆効果を生んでいる側面もある。


 例えば、子供にスマホなどの電子機器を何歳で持たせるかで家庭間のズレが起きているのだが、そのズレが子供たちの人間関係に暗い影を落とすことや他の子たちの先入観で自分の子供がいじめられるなど“他者理解”が難しい部分も昨今は見受けられるようになってきた。


 そのため、子供たちにどの段階で持たせる判断をする際に”周囲“に合わせるのか、”方針“に合わせるのかで状況が変わってしまう可能性もある。


 特に、現代は小学生がスマホなどを保持する事が以前に比べると増加傾向にあり、スマホを使ったいじめやSNS等の利用など多面性を理解している子供が使うなら良いのだが、同調的・協調的な理由で保持し、十分な理解が進んでいる状態ではない場合、知らない間に精神的に追い詰められる可能性もある。


 これらの最も難しいのは“子供の主張を大人がどの程度理解し、適切に説明が出来ているか”という点だ。


 その理由として、子供たちは年齢が上がる毎に“仲間”や“人間関係”などを次第に意識し始める。


 その際に相手と交流するために必要なツールとしてスマホやお小遣いなど自分と相手が交流する価値があるかを見極めようとするのだ。


 特に小学校高学年以降は大人に向けた人間関係を構築し始める時期でもあり、これまでの人間関係とは違った視点で人との交流や出会いなどを求めることが多い。


 そして、子供たちが見ている視点と子供たちが考えている価値観も子供から大人に向かうために少しずつ変化していくため、これまで“正解”だと判断していたことが“中立的正解”や“部分的正解”のように解釈が少しずつ異なっていく。


 そのうえ、中学校以降は全員が同じ学校に進学するとは限らないし、中学校になると複数の小学校から1つの中学校に子供たちが集まるため、そこで新たな出会いがきっかけになり、人間関係の構図が変わっていくことになる。


そのため、今まで友人関係等で関わってきた人たちと関係を継続するのか、関係を終了するのかを見極める時期でもあるのだ。


私は小学校卒業の時点で他の同級生とは違う中学校に入学し、これまでの人間関係も継続出来ている人もいるが、全く連絡を取っていない人も少なくない。


 特に今はネット環境の発達によりSNSなどで調べることも可能であり、近況が分からない同級生の近況を知る事も出来る。


 ただ、このような事が出来る家庭ならいいが、中には「○○君・○○さんと同じ学校に進学しなさい」や「○○君・○○さんよりも良い学校に進学しなさい」など特定の相手に対して対抗心を持っている親やその人より上を目指させようとする親など教育に関する部分や派閥間の学歴闘争のような部分において自分のイメージを相手に受け付けようとする行為などを子供に対して強要することも少なくない。


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