第2話:虐待の背景 ②

 また、虐待をする親の共通点として①みんなと同じ子供にしたい・②仲間はずれにならないように育てたい・③親の評価を悪く見られたくない・④自分の仲間・良き理解者になって欲しいなどどちらかというと子供の将来性よりも自分が褒められたい、自分の価値観で子供を苦しめたくないという自分にフォーカスされているパターンが多く、その他にも外では明るく振る舞うことや協調するような心理で周囲との関係を維持したいという心理が同時に働く。


 その結果、外でのストレスを内(家庭など)で発散する傾向があり、その発散の矛先は子供に向くということもしばしばだ。


 今は幅広い年齢層が父親・母親として同じ社会に過ごしている。


 そのため、各世代における価値観の違いや教育観などの違いが顕著に表れる場面も以前に比べると増えており、地方などの場合はその地域特有の価値観や教育観が存在していることや新しい価値観が受け入れられないという事態が発生する懸念があり、自分が正しいと思ってやってきた事に対して周囲から否定をされて、自信を持つことが難しい事や地域における伝統などによって強制されることに対するストレスなどが虐待や暴力に発展する要因として考えられる事も多い。


 また、しつけと虐待の境界線が不明確になっているケースや他の親御さんから周囲の情報が入ったときに、子供に対して「○○くん・○○さんのようにならなくてはいけない」という無意識の焦りが親御さんの中に芽生えたときに抑制できない状態に陥るなど社会における成績至上主義や実績至上主義が親御さんの価値観を崩壊させ、“周囲と同じように出来ない事はいけない事”という過剰な先入観が起きたときにも虐待が起きやすい条件がそろっている。


 虐待というのは突発的に起きるものと慢性的に起きるものに分かれ、その背景にあるのは両親の発育環境や学習環境など両親が育ってきた環境で正しいと思ったことを子供たちにも同じように継承して欲しいという親心が上手くいかないことが増えたときに自分に従順させるため、子供たちへの期待から手を上げてしまう、叱責してしまうなど子供の精神的な部分を恐怖や不安でコントロールしようとする“習慣”や体験“・”経験“に繋がっているように感じる。


 また、さまざまな記事を読んでみると、“虐待は遺伝する”・“DVを受けていると無意識のうちに虐待してしまうことがある”などいろいろな説が書いてあった。


 確かに、このような記事のインタビューなどで「私は物心が付いたときから実の両親に虐待されていました」や「再婚相手に虐待されました」など子供側が虐待を受けているケースが目立つ背景を探ると父親・母親の両方もしくはいずれかが“しつけ”と称して両親から暴力やネグレクト(育児放棄)を受けていた過去を持っている、幼少期からいじめを受けてきて、家でも虐待を受けていて居場所がなくなってしまったなど完全に虐待を全期間にわたって受けているわけではないが、一定年齢を超えて体験・経験した事は心に残りやすいため、誤った認識で子供たちに向き合ってしまう傾向もある。


 そこから、負の連鎖を起こすことで親から子供へ子供からまたその子供へと永続的に繋がっていってしまう可能性があるのだ。


 私はどこかでこの連鎖を止めないといけないと感じている。


 その理由として、時代の変化に伴って社会の倫理観や教育観は刻一刻と変化しており、しつけと虐待、正当行為と不当行為などの線引きもかなり厳しくなっている事が多い。


 現在は公共の場で自分の子供に叱責しただけで周囲から“虐待”と判断され、学校で先生が指導しただけで“体罰”や“パワハラ”などといったかなり窮屈な社会が広がりつつある。

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