EP3 ご褒美


 女35歳

 ニックネームみかん

 職業事務職

 趣味料理


 男29歳

 ニックネーム真一

 職業会社員

 趣味サッカー



女「はじめまして、もしよかったらこれからご飯でもどうですか?」


男「こんばんは、大丈夫ですよ」


女「ありがとうございます。ではこれから向かいます」




 待ち合わせ場所にて。



男「あのぉ、みかんさんですか?」


女「はい、真一さんですか?」


男「はい、はじめまして」


女「あ、どうも」


男「どこか入りましょうか?何が食べたいですか?」


女「味の濃いものが食べたいです」


男「そうなんですか?俺も丁度そんな気分でした!じゃあ焼肉とかどうですか?」


女「いいですね!それなら行きたかったお店があるんでそこでもいいですか?」


男「もちろん!」


 店に移動する二人。



女「とりあえずビールでいいですか?」


男「はい!肉も適当に頼みましょう」


 男が注文をする。


女「かんぱーい」


男「かんぱーい」


女「真一さんはよくこのアプリするんですか?」


男「時々ですけど、今日は夜暇だなーって時は今から会える設定をオンにして待ってます」


女「じゃあもう少し私が遅かったら他の人に取られてたかもしれないですね」


男「ハハッ。俺別に誰でもいいわけじゃないですよ〜」


女「あっごめんなさい」


男「みかんさんは?よく会うんですか?」


女「私は、正直アプリはよく開いてるけどタイプの人がなかなかいなくて」


男「じゃあ今日が初めてですか?」


女「そうなりますね、まあ選り好み出来る歳でもないですけどね」


男「あー、そうゆう自虐はよくないですよ!歳とか関係ないし」


女「気分悪くしたならごめんなさい」


男「いや、そんなつもりじゃないんでっ。あ、そうだ、みかんさんってお仕事何してるんですか?」


女「あ、私は事務してます」


男「職場はどの辺なんですか?」


女「いちご町のへたら辺ですよ」


男「俺の会社もその辺ですよ!」


女「そうなんですか?じゃあ近いかもですね」


男「俺の会社結構でかいですよ〜」


女「私のところも大きい方だと思いますよ」


男「でもへたら辺ででかい会社ってうちくらいだと思いますけど、なんてゆう会社ですか?」


女「うちはさくらんぼってゆう会社ですよ」


男「え、マジで?俺もそこなんですけど!」


女「えそうなの?!もしかして営業部?」


男「そうです!いやすごい偶然ですね!」


女「あんま営業部の人と会わないからなぁ」


男「そうと分かれば乾杯ですね!」


女「何に乾杯?」


男「会社の繁栄を願って?とか?」


女「フフッ、いいね!じゃあ乾杯」


男「乾杯!いやーでもこんな綺麗な人がうちにいたなんて思わなかったですよ!」


女「同じ会社って分かった途端ごますってもダメだよー」


男「違いますよー!最初見た時から思ってましたもん!」


女「白々しい〜」


男「みかんさんこそさっきと態度違うじゃないですかー」


女「私はなんか気が抜けたってゆうか、急に親近感湧いちゃって」


男「それはよかったですね〜」


女「なにー?なんか気に入らない?」


男「てかみかんさんって入社何年目ですか?」


女「急に真面目になったね。私は今年で3年かな」


男「意外と最近ですね」


女「あー私それまで他の会社でずっと働いてたから」


男「そうなんですか。あの、一つ聞いてもいいですか?」


女「なに?」


男「ちょっと噂で聞いた事があるんですけど、うちの部長ってよく事務員に手を出してるらしいですよ」


女「それがどうしたの?」


男「不倫みたいなんですよ」


女「それ誰から聞いたの?」


男「事務の子ですよ?さくらちゃんって分かります?」


女「あぁ、分かるよ」


男「その子俺の大学の後輩なんですけど、結構情報通なんですよ」


女「みんな噂が好きなんだね」


男「女の人はみんな好きなんじゃないんですか?」


女「私は他人の事なんか興味ないよ」


男「でもね!それがその部長ただ不倫してるだけじゃなくて、何人も他にいるんですって!」


女「えっ。そうなの?」


男「あー!ほら食いついた〜」


女「そ、そんなんじゃないよ!でも酷いねそれは」


男「まぁ男なんてそんなもんですよ」


女「そんな事ないでしょ」


男「みかんさんも気をつけた方がいいですよ〜」


女「私はその他多数になんてならないし」


男「まぁまぁ!怒らないで下さいよ〜」


女「そうだね、誰か知らない人の事で気分悪くなったって意味ないよね」


男「でも、正直本当にみかんさんの事綺麗だと思ってますから」


女「ちょっと飲み過ぎじゃないの?」


男「酔ってはないんで大丈夫です!」


女「そう。じゃあさっきの事は忘れてどんどん食べよっと」


男「俺の言った事無視するんですか?」


女「無視?何の事?」


男「綺麗だって言った事ですよ」


女「ごめん、気にしてなかった。ありがとね」


男「男が綺麗だって言う意味分かります?」


女「何?誘ってるって事?」


男「分かってるんじゃないですか」


女「同じ職場の人と関係持つわけにはいかないよー、気まずいじゃん」


男「‥‥‥」


女「どうしたの?やっぱり飲み過ぎだよ」


男「‥‥実は俺、みかんさんの事知ってるんですよ」


女「どうゆう事?」


男「最初会社で見かけて、それこそ綺麗な人だなーって。でも、話す機会もないし、高嶺の花みたいで遠くから眺めるだけでした」


女「それ本当に私?」


男「間違えるわけないじゃないですか!ずっと好きだったんですから‥‥」


女「じゃ、じゃあ最初から知ってるならそう言ってよ」


男「俺もビックリしたんですよ!運命だとも思いました。でも本当の事言ったら引かれると思って言えなくて」


女「それは運命というか、アプリ的に近い人をマッチングしてくれるからあり得ない事もないけど」


男「いや、これは運命です」


女「はいはい、運命は分かったけど、私からしたら初対面だし」


男「もしかして、軽い女だと思われたくなくて気にしてるんですか?」


女「すごいポジティブだね。まぁ間違えではないけど、なんていうか‥‥その」


男「何もホテルに誘ってるわけじゃありません。ただ、今気持ち伝えないとまた会えるかも分からないし。眺めるだけの俺に神様がプレゼントしてくれたんですよ、きっと」


女「うん、気持ちは分かったよ。ありがとう。でも少し考えさせてほしい」


男「もちろんです。でもその間も会ってくれますか?」


女「ご飯くらいなら」


男「よかったぁ」


女「でも真一くんモテそうなのに、なんで私なんか」


男「あー!また私なんかとか言って!自分をそんな風に思ったらダメですよ!」


女「あ、ごめん」


男「みかんさんは素敵な人です。それだけ言っておきます」


女「フフッ、なにそれ」


男「ありがとうございます」


女「何に対してありがとう?」


男「アプリを開いてくれて」


女「あ‥‥うん」


男「そろそろ出ますか、送りますよ」


女「‥‥うん」


男「どうしたんですか?」


女「なんだか酔ったみたい。少し休みたいかも」


男「それって。いい‥‥んですか?」


女「‥‥うん」



 その後店を出てホテルに移動する二人。



男「夢みたい。みかんさんがこんな近くにいるなんて。今まで一途に思い続けたご褒美ですかね」


女「みかんはもうやめて、私あいだから」


男「あいさん。好きです」



 ここから先はご想像通りです。



 その後二人はアプリを開いてないという事は上手くいったみたいですね。


 残念です。





 

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