EP2 相思相愛


 女21歳

 ニックネームかりんとう

 職業大学生

 趣味写真


 男28歳

 ニックネーム今日も暇

 職業フリーランス

 趣味ゲーム




女「初めまして。今から少し時間が出来てしまったので、お茶でもしませんか?」


男「いいよ、今からすぐ?」


女「出来れば早めの方がいいです」


男「じゃあすぐ向かうね」


女「私も行きますね」


男「後ほど〜」



 待ち合わせ場所にて。



女(まだ来てねぇじゃんかよ)


 10分経過。


男「ごめん遅くなって!」


女「えっ、今日も暇さんですか??」


女(金持ってそうだから選んだのに今日はハズレだわ)


男「そうだけど、かりんとうちゃんだよね?」


女「はい。えっ、プロフィールの写真‥‥」


男「あぁ、プロフィールの写真は丁度美容院に行った時に撮ったやつなんだよ。髪すごい伸びちゃったなぁ」


女「髪ってよりは髭も伸びてますよ」


男「ワイルドの方がモテるかなって思って、ハハッ」


女「はぁ」


男「で、どこ行く?カフェ?写真好きなんだよね?もしかして写真ってインスタにあげる写真の事?」


女「そうですけど」


男「じゃあインスタ映えする所がいいよね?えーっと。調べてみるね」


女「あの、どこでもいいですよ。むしろ、そこでもいいです」


男「ん?あそこは喫茶店だよ?若い子はあんまり行かないんじゃない?」


女「じゃあなおさら、そこで」


男「かりんとうちゃんはレトロな感じが好きなんだね!いいよ、行こう」


 喫茶店に入る二人。


女「あの、私あんまり時間なくて、一杯だけ飲んだら行きますね」


男「ごめんね、俺が遅れちゃったばっかりに」


女「大丈夫です」


男「何飲む?」


女「じゃあ紅茶で、ミルクもお願いします」


男「マスター!コーヒーと紅茶お願い。ミルクも」


女「あの、お仕事フリーランスって書いてありましたけど、どんな事してるんですか」


男「まぁフリーランスって言ったら響きはいいよね。でも実際のところフリーターみたいなもんだよ」


女「フリーター?その歳で?」


男「ハハッ、失礼だなぁ、これでも昔はバリバリ働いてたんだよ?」


女「でも今はフリーターなんですよね?」


男「時々でっかい仕事はするけどね」


女「はぁ」


男「かりんとうちゃんってめっちゃ可愛いね!モテるでしょ」


女「モテないですよ」


男「そうだ、写真撮らないの?」


女「あ、今日はいいです」


男「そうなの?ここ雰囲気いいでしょ?」


女「そうですね」


男「なんかテンション低くない?せっかくなんだからもっと笑顔笑顔!」


女「あぁ、はい」


男「かりんとうちゃんってさ、彼氏いるの?」


女「いません。あっいます」


男「どっち?あ!もしかして俺に付きまとわれるとか思って今嘘言ったでしょー?」


女「そんな事ないですよ」


男「確かにかりんとうちゃんはめっちゃ可愛いけど、俺には釣り合わないよ〜」


女「はい」


男「はいって酷いな〜。あ、かりんとうちゃんってツンデレだ!そうでしょ?」


女「そうかもですね」


男「てか大学生だよね?いいなー青春してる?」


女「まぁ」


男「サークルは?どこの大学?」


女「写真サークルです。大学は言えません」


男「えー俺が車買ったら迎え行ってあげようと思ったのに〜」


女「車、持ってないんですか?」


男「欲しいのがあるんだけど、なかなか入ってこなくてね、絶対買うんだ〜!」


女「はぁ、がんばってください」


男「本当毎日暇だからチャットしてくれて嬉しかったよ!」


女「そりゃ暇ですよね」


男「毎日ゲームばっかりで嫌になるよ本当」


女「働かないんですか」


男「あっ、俺に興味湧いたの?」


女「いや、違いますけど」


男「そこは嘘でもはいって言ってよ〜」


女「すいません。あ、そろそろ私行きますね」


男「えっ?もう?早くない?まだ30分も経ってないよ」


女「紅茶飲んじゃったんで」


男「そっか、せっかく付き合ってもらおうと思ってたのに残念」


女「‥‥は?私があなたと付き合う?あの、黙って聞いてたらベラベラと。写真を見たら清潔感もあってイケメンだったからチャットしたのに、来てみたら無精髭は生えてるしお風呂入ってないように見えるし、格好も汚いし、極め付けは無職?嘘ついたらダメですよ。来ちゃったもんは仕方ないし、お茶飲んでもらえただけでも感謝してよね」


男「何言ってるの?」


女「はい?何って私と付き合いたいんでしょ?」


男「あぁ!付き合うって交際のね!違う違う。俺は新しい家を見に行きたかったから、かりんとうちゃんの意見も聞けたら嬉しいなーって思って、着いてきてほしかったの」



女「家って、もしかして家賃が払えなくて追い出されるんですか?可哀想な人。でもあいにく私はあなたみたいに暇じゃないんで」


男「ごめんね、最初から少し時間が出来てって言ってたもんね」


女「まぁせいぜい頑張っていい人見つけて下さい、じゃあ」



 店を出てふてぶてしく歩く女。


女(なによあいつ、本当時間の無駄!)



男「かりんとうちゃん?よかったらうちすぐそこだから寄ってく〜?」


女「着いてきたんですか?警察呼びますよ」


男「警察まで呼んじゃうの?酷いなぁ、わかったよ〜じゃあね」



 近くの高級マンションに入っていく男。



女(は?どこ行ってんのあいつ)



 最上階から叫ぶ男。



男「気を付けて帰ってねー!!!」


 見上げる女。


女(えっ、どうゆう事?あいつここ住んでんの?待って、無職があんな所住めるの?無理してんの?いや、無理しても無理でしょ。えっなに、もしかして私勘違いしちゃった?私の見る目は正しかったって事?あのマンションって億はするよね。しかも最上階って)



 急いでチャットを送る女。



女「もしかしてマンションの最上階に住んでるんですか?」


男「そうだけど?」


女「すいません。用事なくなったんでよかったらこれからまた会いませんか?」


男「でも、もう上がっちゃったしなぁ、エレベーター結構時間かかるんだよね」



女(やべっもう5通送っちゃった、どうしよう!あーもう、千円くらいあいつと付き合えれば元とれるわい!)



女「そうですよね、じゃあ私がそっちに行きましょうか?あ、新居探すのもご一緒しますよ?」


男「でも風呂入らないと汚いって言われちゃったし」


女(え〜!もう二千円くらい!)


女「そのくらい待ちますよ!」


男「あ、それに美容院も行かないとこんなんじゃかりんとうちゃんに失礼だよね」


女(‥‥二千円も三千円も一緒じゃい!)


女「大丈夫です、待ちますから」


男「あっ、それに服も買わないといけないし」


女(‥‥‥)


女「一緒に服選びますよ!」


男「あっ、それにフリーランスって嘘ついちゃったから仕事もしないといけないし」


女「私が側で応援しますよ!」


男「うーん、今日はもうゲームする気分だから、またね!」


女「またって事はまた会ってくれるんですか?」


男「かりんとうちゃんがどうしてもって言うならまたチャットして〜」


女「よかったら連絡先教えてもらえますか?」



女(あれ?返事がない)



女「今日も暇さん?私の大学に迎えに来てくれるんですよね?」


女(なんで返事こないんだよ!)


女「今日も暇さん?私連絡待ってていいんですよね?」



女(なんで無視するのぉ。ゲームて、ゲームする暇あるんなら返事しろよな!)




 それからというもの女はチャットを送り続け、男の方は女のチャットを嬉しそうに眺めていますね。


 ありがたいですね〜。こんなカップルがもっと増えてくれると私は嬉しいです。


 悪趣味なのかそれを楽しむ男と、ゲットしようと必死な女の滑稽な姿。



 人は見かけによらないが、自分の直感を信じるのも大事かもしれませんね。






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