第4話 道に迷った俺は

「すごい、魔力をほとんど使わずに魔法が出せた」

 狐火、オークを一匹丸々燃やし尽くすほどの威力の炎を出せるというのに魔力の消費はかなり少ない。

 下級魔法と同じくらいかもしれない。


 残りは7体、これなら行ける。

 次は別のオークを斬りつける。

「狐火」

 壊れている武器を捨て、オークの武器を持つ。

 オークの体は人間の倍ほどのサイズ、それに相対して武器の大きさも倍。

 なのにも関わらず軽々と持ち上げることができ、普段と変わらない要領で使うことごできた。


 力、魔法、どちらもを強化してくれるのは本当にすごいスキルだ。

 そこからまた3体ほど倒し余裕ができてきたため、唖然とした様子の商人の集団に話しかける。


「あの、怪我はないですか?」

 俺の問に雇われの冒険者であろう人が代表して答える。

「一人怪我してる!他は無事だ」


 怪我人が一人いるそうだが他の人がしっかりと手当をしている。

 慣れているのだろう、誰も慌てずちゃんと対応している。


 何度も狐火を使っているとまた必要なときに魔力切れになる可能性があるので残りの4体は武器のみで片付ける。

 力が強くなったことででっぷりとしたオークのお腹も貫通させられる。

 骨を断ち切り、肉を裂き、しっかりと攻撃をし倒すことはできたが、まだ自分の技術が追いついておらず武器はボロボロで体は返り血でびっしょりとしている。


 このまま街に入ろうとすれば止められてしまうだろう。


「怪我人は大丈夫ですか?」

 全てのオークを倒しきり一息ついたあと、商人の集団に話しかけた。

「ああ、しっかりと処置もできたし大丈夫だろう」

「今回はありがとう、君のおかげで何とか生き延びることができた」


「いえいえ、気にしないでください」

 

『どうじゃ?勇気を出してよかったろう?』

 その声はとても優しげで、俺の興奮を抑えてくれる。

「はい」

 

「あのすまない、他にも仲間がいるのか?」


「え、あ、その」


『おおそうじゃった、お主にしかわしの声は聞こえたないからな、独り言に聞こえとるんじゃろう』

『心の中で念じればそれで良いぞ、わしとお主だけならばそれで貝輪できる』


『わかりました、今度からはそうします』

 代表の冒険者の人はあたりを見回す、が何も見つからない、そのことを不思議がっている。

「いえ、俺一人だけですよ?」


「そ、そうか」


「皆さんはこのあとどちらに?」


「商品も全て売り終わったらしいから王都に帰るぞ?」


「それなら俺も一緒に行かせてもらってもいいですか?」

「恥ずかしいことに道がわからなくて…」


「ああ構わない、こっちも安心できるからな」


 

 

 そこからの道のりでは冒険者の人達と友好を深めたり、冒険者について教えてもらったりととても有意義にものだった。

 この人達は翼の街道というCランクのパーティーで、オーク単体や数体の場合は対処できるが流石に群れの場合では何もできなかったのだそうだ。

 オークの群れ何てそうそう会うことはなく、運が悪かったらしい。

 だがその運が悪いという一つの要因で、簡単に命を落とすのが冒険者という職業だと語っていた。


 俺とは違いしっかりと経験を積んできている人達の言うことは重みが違った。


「よしようやくついたな、今回はありがとう、道中も助かった」

「またいつか君と一緒に仕事をすることができたら嬉しい、またな」


「ありがとうございました」

 皆さんとは王都の中で分かれた、冒険の途中で出会いそれぞれがそれぞれの道に進む、これぞ冒険の醍醐味。

 俺もこれから冒険者にしかなるんだ!楽しみだなぁ。

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