第17話 彩は、大変に気分が、心地が良いのだ(1)
「彩さん、今日はこの台に座り、プレイをしてみると良いよ」
淳史は、いつもの通りの優しい微笑み。
そう、夫健太とは違う微笑み。
以前は夫健太も、彩へとしてくれていた大変に優しく見える微笑み。
でも淳史の事、様子を、良く見ればわかる通りの、大変に違和感のある笑み。
未だ他人である彩へと気を遣う、と言うか?
彩の御機嫌窺いをとる為だけの笑み。
そう、彩が結婚生活の中で、既に忘れていた、雄が雌の機嫌をとる為だけに作られた笑みで淳史は、彼女の御機嫌伺いをしてくるのだ。
それも、大袈裟過ぎるぐらいの笑みを彩へとくれるから。
彩は大変に心地良い。
そう、彩は、女性は、産まれてから結婚をする迄は、蝶よ花よと、両親から、お姫様扱いで育てられるのだ。
だから彩の夫健太も、結婚前の恋人時代には、彼女へと良く微笑んでくれていた。
でも結婚、一緒に生活を始めれば。
彩はいつの間にか夫健太から、この作られた笑みを貰えなくなった、どころではない。
妻達皆、感じているだろうと思われる違和感。
そう、彩自身もふと気がつけば、健太の妻である自分自身が、雄に養ってもらっているから。
毎日夫への御機嫌伺いばかり。
夫が仕事から帰れば。
「あなた、お帰りなさい。今日もお疲れ様」と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます