第10話 夫健太への不満……
「あなた?」
「ん? 何、彩?」
「えっ、嫌。何でもない。ないの」と。
いざ夫へと声をかけた彩なのだが彼女はね。ある事をやはり夫へと問いかける事ができずに気落ち落胆した顔、声音を漏らし俯いてしまう事を彩は、ここ一年間ぐらい続けているのだが。
実は彼女、彩にはね、夫健太に対してどうしても嘆願をしたい事があるのだ。
でも彩の様子を凝視すれわかる通りだよ。彼女はその事を夫に伝える事ができずに心痛……だけではないか?
彼女自身が不満を抱えている状態にもなっているのだ。
そう、実はね。彩は、夫に対して病院へと足を運びある事の検査を受け。医師へと相談、治療が可能ならば受けて欲しいと嘆願をしたい。乞いたいと、想いを募らせている状態なのだと説明をすれば。
皆は『あれ?』と思ったに違いないと思われるから説明をするのだが。
う~ん、実は、彩の夫健太は無精子症の疑いがあるのだよ。
だって彩と健太は結婚してからかれこれ三年以上になるのだが、未だに子宝に恵まれない状態なのだ。
だから彩は病院へと行き。相談と検査──。
自分達夫婦は、新婚初夜からの期間。毎日、毎晩、多い日は日に数度夫婦の営みを仲良く、野獣、獣化しながら。激しく、荒く、吐息と嬌声……。
彩が声にならない声音で鳴きながら腰を優艶に振り続け頑張り、尽くし、おこなっているのにも関わらず自分達二人の間には可愛いベイビーができない。コウノトリが運んできてはくれない状態が続いているのだと彩は、女性の医師へと遠回しに説明をした。
「じゃ、隅田さん。旦那様を一度病院へとくるように告げてください。そして無精子症の検査を受けるようにと勧めてください」と告げてきた。
そう、女性医師はね。彩に「隅田さん、貴女には何の問題も無い。あるならば旦那様なのだから。御主人を説得して病院へと連れてくるように」と告げてきた。
でも、この通りだよ。
彩自身は夫健太へと『あなたには無精子症の疑いがあるから。病院へといって検査をしてきてお願い。お願いします』と告げる事ができない日々が続いているから。
彩自身は大変にストレスを感じ、抱えている。
でもね、この事、出来事は、夫健太の事を傷つける可能性もあるから彩は親しい知人や両親、弟や妹達にも相談できない状態、日々が続いているから。彼女は更にストレスを溜める日々が続いている最中の彩に対して、これまた止めをさすような一族総出での、子宝に恵まれない夫婦への不満の陰口が、彼女の耳へと聞こえてくるのだった。
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます