第5話 問いかけ? (2)

 だから彩は娘沙也、幼稚園での件がなければ、怪訝な表情をしながら、大した用がないようでしたら帰りますと、冷たい口調で三人のママさん達に告げて、自身の愛車に乗り込み、急発進──幼稚園の駐車場を直ちに立ち去り、逃げたい衝動に駆られている。


 まあ、そんな様子の彩にママさん達の中の一人……。


 先程から彩に積極的に話しかけてくる彼女……。


 そう、自身のおっとが知人の知人からを探しているのだと告げてきた女性がまた自身の口を開き。


「隅田さんの家には確か? 沢山のお子さんが、兄妹がいると子供から聞いたことがあるのですが。それって隅田さん、本当なのかしら?」と、丁寧に訊ねてきた。


 更に彼女はこんな言葉も加えながら。


「隅田さん、もしも差し支えなければ教えてもらえると嬉しいのですがお願いします」と。


 彼女は彩へと微笑みかけ、頭を下げながら訊ねてきた。


 でも、彩には先程から何度も説明をした通りで、他人には知られたくはない過去や秘密がある。


 だから彩は、三人のママさん達の様子を窺いながら少しばかり思案。


 もしも三人が彩自身に対して悪意があり。をネタにして利用し、彩を世間の笑い者、晒し者、亡き者にするようならば彼女は素早くこの場から立ち去り。逃げようと試みもしていた。


 でも三人のママさん達は、彩に対して悪意があるようには見えないと理解ができた。


 だから彩も自身が沢山の子宝に恵まれた事、天からコウノトリが多々運んできてくれた自身の可愛い子供達……。


 そう、彩自身が子供を沢山作り産んだ事に対して悔やんでもいないし、恥ずかしいと思った事は一度もない。


 実際彼女の夫である健太自身も、彼が沢山の子宝に恵まれた事を、自身が勤めている会社内で胸を張り威風堂々と告げる事はが出来るくらい喜んでいる。


 だから彩は別に、三人に対してを隠す必要性もないと判断をしたから。


「はい。そうですが」と頷くのだった。



 ◇



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