第2話 ある日の幼稚園……(2)
だって彼女のことを『隅田さん』と呼んだ。呼び止めた三人の女性達に関して彼女は、ほとんどと言って良い程面識が無い三人組……。
まあ、偶に幼稚園内で会えば、偶然的に会えばね。すれ違いざまにお互いの口から。
『おはようございます』
『お疲れ様』
『さようなら』と。
軽い程度の会釈や挨拶を交わす程度の認識しかない女性達。ママさん達なのだ。
だから彼女自身が三人のママさん達に声をかけられ、振り返った瞬時に、自分に対して三人が何のようだろうと思うだけではなく。
(このママさん達、良く私の名字を知っていたな)と。
首肯しながら感心したい衝動に駆られたぐらいだから。
そう、彼女、隅田彩自身も思ったぐらいだからね。
でも彩自身の事を息遣いを荒くしながらも、駆け足で追いかけてきてくれた三人組だから。彩自身も彼女達の事を無視、無下に扱う訳にはいかないのだよ。
だって三人組の女性達は、彩自身と同じ幼稚園に子供を通わす母親達であり。
彩の娘沙也の名を呼び、
彩の娘である沙也の仲の良い友達のお母様方、ママさん達である可能性が大なのだ。
まあ、そう言った訳もあるからね、彩自身は彼女達の事を無視、放置して、自身の愛車に乗り込み、エンジンを始動、パーキングからドライブへとギヤを入れ急発進──。
その場を去る。立ち去っていく訳にはいかない。
だから彩は、彼女達に対して当たり障りの無い表情と口調で。
「あの、私に何かようですか?」と問いかける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます