大家族シリーズに出演してみないかと誘われた私ですが。子の父親が違うのでどうしよう? と、思案中(淳史編)

かず斉入道

第1話 ある日の幼稚園……(1)

 ここは、とある幼稚園の駐車場内で御座います。


 只今小さな幼稚園の園児。女の子を真っ赤な軽四のダイハツミラの後部座席へと積み込み。


「良い子していてね」と、幼稚園の征服を着衣した娘をあやす女性は、その後、自身が抱かかえた幼子。未だ母乳、ミルクを離せない年頃の、幼い赤子を助手席のチャイルドシートへと、丁寧に乗せ。シートベルトを、カチン、カチャと音を立てながらロック──絞めてね。緩みがないかと確認をとっている女性。


 多分、彼女の年齢を傍から見て察する所。多分、30代中盤ぐらい?


 う~ん、もしかすると前半ぐらいか? やっと30歳になったばかりかも知れない女性……。


 そう、小さな子供いるわりには余り生活感を漂わせていな洒落た装いの小奇麗な女性になのだが。


〈ザクザク〉と、複数の足音──。


三人の女性の姿……。


 只今女性が後部座席へと乗せた娘だと思われる女の子と同じ幼稚園の制服を着衣した、女の子と男の子連れた彼女と余り変わらぬ年頃の女性三人が。


「隅田さん。隅田さんー!」


「沙也ちゃんのママ。ママー!」


「沙也ちゃんのお母さん。お母さんー! ちょ、ちょっと待ってよ。お願い。お願いだから」と。


 まあ、三人仲良く息切れ。「はぁ、はぁ」と、荒い息を漏らしながら駆け足で、真っ赤なミラの助手席に赤子を乗せ終え。今度は運転席へと移動を試みようとしていた女性へと三人の女性が『隅田さん』と叫びながら慌ただしく歩み寄ってきたのだ。


 だから彼女、隅田と呼ばれる女性は後ろ振り返り首を傾げるのだよ。


(……? 私に何の用事かしら?)と、思いながら。



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