第4話 水族館デート
「水族館に行こっか!僕楽しみにしてたんだぁ」
「俺も楽しみだよ、水族館何ていつぶりだろ…」
「え〜と、小学校の頃の修学旅行以来じゃない?」
「だったねぇ」
修学旅行、そうか、5年も昔か…。
今考えるとかなり時間が経っている、そういえばこの頃のまだ兄さんだった姉さんは羞恥心を覚え始めたばかりで他の男子達と一緒にお風呂に入れない…ということで一人個室のところに入ってたっけ。
「僕もその頃にはもう恥ずかしくなっててみんなと一緒にお風呂入らなかったよね!」
「そうだったねぇ、懐かしいなぁ」
「よし、ついた!」
水族館のチケットを買うために受付に並ぶ、まだ早い時間ということでそこまで混んでいるわけではなくスムーズに入場できた。
「歩ありがとね?お昼ごはんは僕が払うから…」
「うん、よろしく」
水族館の入場料は俺が払った、今回は俺からの姉さんの頑張りをねぎらうためのデートだから初めからそうするつもりだった。
だが俺が全額払ったことで姉さんが申し訳無さそうな表情でお昼ごはんは…というものだから断りきれず奢ってもらうことにした。
「それじゃあどこから見る?僕はイルカから見たい!!」
瞳をキラキラとさせてイルカショーが始まるであろう会場を見つめている姉さん。
その瞳はヒーローショーを待ち望んでいる少年少女のようでとても可愛らしかった。
「なら、イルカショー見に行こうか」
イルカショーが始まる前からかなりの人数が集まっており開始10分前からもう人気の席は確保されていた。
だが姉さんも俺も濡れるのはあまり好きではないので全く気にすることなくイルカごよく見える高い位置に座った。
「あ、そろそろ始まるよ!僕楽しみぃ」
「そうだね、ここのはどんなのだろうね?」
イルカショーが始まる前からイルカの泳いでいる姿は見ることができている。
「多分バンドウイルカだと思うよ!背びれは鎌形だし灰色が主な色だし」
「やっぱり未来は詳しいよな?」
「あ、ごめん興味なかった?」
「ううん、楽しそうに話してる未来が見えるから結構好きだよ?」
「え…そう…?」
頬をほんのりと赤らめ、恥ずかしそうに俺の目をチラチラと見てくる。
可愛い、でもイルカショー見逃すぞ?
「おーい、もう始まるからイルカショーみよ?」
「う、うん!!」
結果から言おう、とても凄かった、何がすごいのかはわからないがとてもすごかった。
「凄かったね!イルカの上げる水しぶきもそうだけど縁のすぐ近くまでよってきてくれてて…下の端の方で見ても良かったね?」
「わかる、何かサービス精神旺盛だったな!」
「他にも何回も失敗してた技が成功したときは僕も感動して…あとあと、最後のみんなが、一気に飛び上がるやつ、息ぴったりでカッコよかった!!可愛くてカッコいいとか最高!!!」
「だったねぇ」
イルカも可愛かったが姉さんも可愛い、とても楽しそうにイルカショーの感想について語る姉さんは小動物のような振る舞いと小さな体も相まって中学生や小学生のようだった。
「次は本館でお魚見よ!!」
と言いながら俺の隣をルンルン気分でスキップをしながら歩く高校生、年相応ではないが可愛い。
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