第3話 可愛すぎて本能をお漏らししそう
「楽しかった〜、今日は勇気づけてくれてありがとね?歩!」
「歩のおかげで僕、皆にちゃんと言うことができたから…」
「ほんとにありがとう!!」
ひまわりのような元気な笑顔でお礼を言われるのは悪い気はしない。
「まあ姉さんが嫌な思いをしなくて良かったよ」
「で、これからどう…」
「待ってよ歩!約束……覚えてるよね?僕のお願い聞いてくれるでしょ?」
くっ、忘れていなかったか…。
「わかったよ、結婚してとかはなしだからね」
「そんなことしないよ、歩が本心で僕と付き合いたいって思うまでは僕はずっとお願いし続けるだけだもん!」
「強制はしないよ?」
できれば誘惑するのもやめてほしい。
「それならいいけど、何すればいいの?」
「えっと、その、え〜と…デート……しよ?」
真っ赤な顔でぷるぷると震えながら上目遣い、何だこの完璧な布陣は。
断れない!!
「わかった、じゃあ今度の土曜日でいい?」
「うん!!!」
「何でだろう、何で一緒に住んでるのに別々で家を出て待ち合わせをするんだろう…理解できない」
「それに少し遅れてきて、ごめん待った?って行ってほしいとか…なぜ?せめて時間通りに行きたかった」
俺は理解の範疇を超えた行動を取らされている、乙女子(元男)は理解できないとはこういうことだったのだろうか…。
待ち合わせ時間は10時20分、俺が行くのは10時30分、そして今は10時25分。
そう今は10時25分だ、待ち合わせまでにあと5分ある。
で、だよ?待ち合わせ場所のすぐ隣のカフェには今より20分前についている。
なのにも関わらず姉さんは先についていた、待ち合わせ場所に。
そしてずっと身だしなみを気にしている。
姉さんは兄さんだった頃から服装は女っぽかった、スカートは履いていなかったが全身女性用のものを着用していた。
だが今はボーイッシュな服装をしている。
というより男物を着ていると思われる。
だがズボンは短パンを履いており足はしっかり露出している。
上はパーカーを着て包み隠されてはいるが胸はかなり膨らんでおり…。
う〜んボーイッシュ。
これでボクっ娘、あれ俺の趣味バレてる?
と、そうこうしているうちに時間が来た。
会計を済ませ姉さんに話しかける。
「ごめん姉さん遅くなっちゃって、待たせた?」
「……」
返事がない。
「お〜い、姉さん聞こえてる?」
「名前」
「え、あ未来ちゃん?」
「違う」
「未来…くん?」
「そうじゃない」
「未来?」
「最初から」
「おまたせ、待った?未来」
「うん、でも僕は待ってる時間も好きだから気にしないで!!」
可愛い、いつもとは違う姉さんが可愛い。
ボーイッシュなボクっ娘姉さんは可愛い。
この人と付き合える…?それならいいのか……、いや駄目だろ!!
まつんだ俺、姉さんは兄さんで兄さんは兄弟。
血は繋がっていなくとも魂は繋がっているたった一人の兄弟なんだ。
これは許されざる禁断、理性を働かせるんだ。
理性というオムツを履いて本能をお漏らししないように覆い隠すんだ!!
俺なら出来る、乗り越えられる。
「じゃ、行こ?」
上目遣い、パーカーとTシャツの上からの胸チラ、やばいお漏らししそう。
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