『勝也side』
第6話 とめられない気持ち
家に帰るとドキドキが、まだ止まらなかった。
あんなに女性に積極的に攻めることは、初めてだった。
ちりこさんのこと、放っておけない。
寂しそうな横顔が目に焼きついている。
抱きしめたちりこさんは、小さくてふわっと花のようなすごく良い香りがした。
まだこの腕のなかにちりこさんが居るみたいに温もりを感じられて、勝也の切なさが増していく。
(あー。やばいなあ。俺)
突然抱きしめられたりしたら、そりゃあびっくりするよな。
ちりこさん、……嫌じゃなかったかな?
勝也はアパートの小さなベランダに出て、コーヒーを飲みながら暗くなった空に星を探した。
突き飛ばされたりしてないし、やめてって言われたわけじゃない。
でも、全然自信はない。
(旦那さんもお子さんもいる。なのに抱きしめたりして。どうかしてんな、俺は――)
――俺は。
俺は好きなんだ、ちりこさんが。
仰ぎ見た夜空は星がとても綺麗だった、たくさんの幻想的な光が勝也に降り注いでいる。
(あー、ちりこさんと一緒に満天の星空が見たいな)
まあ、空手教室で会えるっちゃ会えるんだけど……、二人きりで会いたいと勝也は思った。
それはたぶん叶わない、贅沢な願いだと分かっていたのだけれど、願わずにはいられなかった。
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