第20話 お祝いの訓練。

交換用の刃まで貰ったナハトは顔を紅潮させて喜んで「お兄さん!着替えたらよろしくお願いします!」と言っているとメロが「あ、ナハト、訓練前に特別訓練があるんだよ。ナノカさんとやれるよ!」と言ってミチトを見て「パパ、お願い!」と言う。


「何するのメロ?」

「天空島からの落下訓練!」


一瞬で上機嫌になったミチトは「おお!忘れてたよ!やろうナハト!」と言ってナハトの肩をガッチリと掴む。

「お…お兄さん?それはシヅさん達が滅茶苦茶怖いと言っていた…」


だがミチトは話を聞かない。「高度を限界まで上昇させるのもいいよな…、いや暴風を起こしてもいいよな」と盛り上がっている。

そこにエーライが子供を連れてきて「友よ、我が子リッパーとミコットも頼めるかな?」と聞く。ミチトはニコニコと「勿論ですよ!」と返すと「あ!ロードもやろうよ!アルマとマアルも!」と言って子供達に照準を合わせて次々と巻き込んでいく。

子供達は上機嫌のミチトに恐々としながらも誰も拒絶しない空気に何も言えずに前に出てくる。


シヤが「マスター、シーナとヨンゴもいい?」と聞くとミチトは「シヤもおいでよ」と親の顔で誘う。



こうして地獄行きのメンバーはニコニコするミチトに連れられて着替えも済んでいないのに天空島に連れてこられる事になる。

初見のナハト達は「雲の上!?空の上!?」と慌てふためく中、ご機嫌のミチトは紺色を呼んで第三騎士団の訓練場直上に天空島を置かせる。


移動中にのんびりしているとテバッサが「ミチトさん、また飛ぶの?今週3回目だよ?」と呆れながら挨拶に来る。


「やあテバッサさん。あ、エンバーも来た。こっちがエーライさんのお子さんで、こっちはいろんな貴族のお子さん。それでこの子は俺の弟のナハトとその彼女さんね」

「…え?ミチトさんって弟居たの?」

「マスター?まさかその大人数で落ちるんですか?」


「勿論だよ!2人も落ちる?」と誘うミチトに丁重にお断りをするテバッサとエンバー。

既に今週は1回アプラクサスに会うために落ちている。


本当にミチトは飽きないししつこい。ちゃんと断らないと大変な事を知っているテバッサはキチンと断った後で「メロは綺麗なドレス姿なのに…いいのか?」とメロに聞くと、メロはニコニコと「うん。平気だよ。風の術でスカートの中は見えなくするよ!」と言っている。

そこにエワガン達がメロを見て「美しいですお嬢様」と感涙するとメロは「ケーキで懐かれちゃったかな?」と照れていた。


初見のメンバーもいるので今回は仲良く手を繋いで落ちる。

どうやらナハトは高いところは苦手らしく「闘神の弟、僕は弟」と呟き続けてナノカが「ナハト!?大丈夫?ナハト!!」と声をかける。


地上では大丈夫とわかっても心配そうに子供達を待つ親達とナハトが空から降ってくると言われてもピンと来ないエスカとミトレ。


だが少しして「わぁぁぁっ」と言う声と共に降りてくる子供達を見て本当に空から来たとミトレ達は驚いていた。

子供達の感想は二極化していて「地獄を見た」と言う子と「凄かった!」と喜ぶ子だった。


当のナハトは「ダメだあれ、怖すぎる。下には何も見えないのに暫く落ちたら地面があって…」と言っていた。



ナハトの戦闘訓練。

まず最初はアクィが相手をする。

「甘いわ!その振り方は重い剣の時の振り方よ!そんなにそのシャゼットは重いかしら!?」

アクィはナハトが力を込める度に速さを優先した剣でナハトを止める。


「重くないです!」

「なら最小の動作で振るいなさい!」


「はい!」

しばらくナハトの癖を修正したアクィに代わってライブがダガーナイフを構えて前に出てくると「アクィ!交代!私の番だよ!」とナイフを構える。


「ナハト!お利口さんの剣で私には勝てないよ!」

ライブは突然飛び込んで斬りかかるとナハトは剣を前に出してライブを迎撃するがライブはナハトの剣に乗って滑るイメージで懐に入るとハイキックでナハトを転がしながら自分も前に出ていて小刻みに斬りつけながら背後ばかりを狙おうとする。


「ほらほらほら!何回も死んでるよ!」

「くそっ!速い!先読みしなきゃ!」


「そうだよ!皆が真正面から戦ってくれるなんて思うな!」

その後もナハトをコレでもかと斬ったライブは「イブ!出番あげるよ!8でよろしく!」と声をかける。

イブは「了解!」と言って訓練場に飛び込んでくると「皆!ママの活躍を見てくださいね!」と言って二刀流になる。


ナハトが息を整えて構えを取るとイブは「ナハト君、イブはこの後八連斬を放ちます。嘘でもなんでもなく8回攻撃ですよ。防いでみてください!」と言いながらナハトの懐に入ると「二刀剣術…八連斬!」と言いながら八連斬を放つ。ナハトは三まで防げたが残りが全弾命中して訓練場を転がった。


3回防いだナハトを見て満足そうなイブが「さあ!マスター!出番ですよ!」と呼ぶと、ミチトはやれやれと訓練場に降り立ってナハトを治しながら、武器を変えるか?と聞く。

それは使い慣れたショートソードのシャゼットにするかの意味だったがナハトは「お兄さん、四つ腕魔神の剣と同じ形と重さの剣はダメですか?」と聞く。


「…見てみるのもいいな。身体に無理があると判断をしたらショートソードやロングソードに戻すと約束するな?」

「はい」


ミチトは鉱石を出してナハトに剣を作ると渡す。


ライブとアクィは悪い顔でヒソヒソと何かを話すとメロを呼ぶ。メロはウキウキとイブを呼んで悪巧みをするとモバテ達の前にいく。

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