第15話 働き損の結果。
すぐさまミチトはボコボコにした泥棒達を連れて戻ると貴族達の前に突き出す。
付き合いのない貴族達はミチトの戦闘力に感嘆の声をあげるが当人は何の問題も無いので少し意地の悪い笑顔で「シックさん、シックさんのお家のは無視します?」と聞く。
「…それはイケズじゃないかい?」
「冗談です。コイツがそうですよ」
そう言った時に無謀にも泥棒は起き上がってミチトに切り掛かってくる。
恐らく捕まった腹いせにここで一矢報いて恥の一つでもかかせたかったんだろう。
慌てる貴族達はごく一部でアプラクサス達は着席したままノンビリとしている。
そんな中、アクィが「ミチト!剣よ!剣で圧倒しなさい!」と注文をつける。
ミチトは「ええぇぇぇ…殺さないようにするの大変なんだよ?」と言いながら収納術から剣を出すとメロが、「パパ!二十四連斬ね!」と言う。
隠れて練習していたことがバレていて「え?見てたの?」とミチトは聞き返すと「こっそり練習してたの知ってるよー」「ですよねー」とメロとイブがキャイキャイと盛り上がる。
そのままメロとイブは仲良く「ふふふ」と笑うのでミチトはため息をつきながら「二刀剣術…二十四連斬!」と言って泥棒をボコボコにすると迎えに来たシイ達に渡す。
シイ達が泥棒の手を縛って逃げられなくした時、腕を組んだライブが前に出て「シイ、シヅ、ちょっとたるんでるんじゃない?」と注意をする。
バッチリメイクに豪華なドレスで何処から見ても皆がため息をつくような淑女だがその声色と目つきは悪の女幹部に見えてしまう。そんなライブの顔を見て真っ青になったシイが「ライブさん!?」と驚き、シヅが「しっかりやってますがこれからはさらに頑張ります!」と気持ちのいい返事で逃げるように泥棒を連れて去って行った。
初めてその姿を見た娘のベリルが「ママ怖い…」と涙目になり、息子のジェードが「ママはあんなもんだよ」と話す。リナの娘のシアが「うん。セルースおじちゃんとかよく怒られてるよね」と話す。
ミチトはイイーヨ達が捕まえた泥棒たちを見ながら「どんだけ泥棒出るんだよ…」と漏らしながら「アプラクサスさん?」と聞く。アプラクサスは「お恥ずかしい話です。まだまだ王都の治安も良くないのです」と本当に申し訳無さそうに話をする。
「マジか…、シックさん、リミールの視察事務所の前に王都の泥棒退治からやっても?」
「頼めるのかい?」
「まあ見ちゃったら仕方ないですよ。だから王都に来るの嫌だったんですよ。仕事増えすぎです」
正直、前向きになっても全部自分で片付けたいとは思わないミチトは嫌そうに王都を眺める。どうやってさっさと泥棒退治を終わらせるかを考えているとエーライが「聞いたか民達よ!我が友はこれより王都に赴いて不義を暴くと言ってくれたぞ!」と言ってしまう。
湧き上がる大歓声の中ミチトは「げ…、マジか」と言っていた。
これだけでは終わらなかった。食宴ではお呼ばれした金色と真式を見て「あ!真式!居るならお前が泥棒捕まえれば良かったのに!」とミチトが怒る。
真式はニコニコと「いやいや、ミチト君ならやってくれると思ったよ」と笑う。
同属嫌悪なのかミチトは真式には風当たりがきつい。
このやり取りだけで面白くないミチトは「くそっ」と言って怒る。
少し離れた所では金色に懐くタシアとロゼが「金色さんはお父さんの戦う姿って見たことありますか?」と聞いてしまっていた。
「あ、見るかい?」
横に来た真式が広域伝心術でラージポットのオーバーフローを見せる。
それは竜化している金色の背に乗ったミチトが次々と収納術から剣を取り出して眼下の魔物達に投げつけてサンダーデストラクションを放って一気に焼き殺す姿だった。
感動して離れた所で出されたクラッカーを食べているミチトを熱い眼差しで見てしまうロゼ。
眼差しに気づいたミチトが「…なにやってんの?」と言いながら近づいてきて「真式?何したの?」と聞くと真式が答える前にロゼが「すげー!お父さん金色さんの背中の上から剣をバシバシって投げて雷の術でバリバリってやってた!」と言う。
「…え?何見せてるの?」
「オルドス様は御子達にミチト様のラージポットのオーバーフローの戦いを見せております」
「…あれ?その伝心だけでこれだけ盛り上がるなら今回道路作る必要って…あれ?」
困惑するミチトにタシアが「術ばっかりじゃないお父さんが見たいよ!」と話しかける。
そこにアクィが来て「タシア、ママが見させてあげるわ。後はライブよ」と言うとかつてサルバンでアクィを片手に抱きながら術無しでサルバン騎士団を圧倒した姿とライブ目線の王都第一騎士団と訓練をした姿を見せる。
目を輝かせて「うわぁ…凄いやお父さん!」と言うタシアにミチトは「ありがとうタシア」と言って微笑みかける。
この結果、子供達はスカイタワーなんかのミチトを見て惚れ惚れし、本格的に道路を作る必要がなかった事を証明してしまう。
結果として残ったものは王都の治安回復やカラーガの道路舗装で、ミチトはぶつくさ文句を言いながら数日間働く羽目になってしまったのでメロが「パパ、メロもお手伝いするから機嫌直してよぉ」とやって何とか落ち着いたりした。
この後のミチトは引きこもりと思われないように時折王都に出向いて治安維持や騎士団の訓練に参加をする。
ナハトとナノカは頑張って他人のフリをする。
シイ達が「喜びなよ!マスターが訓練してくれるって!」とナハトにミチトを売り込んで「マスター!コイツが新人のナハト!剣だけならイイヒートと張り合えるくらい強いんだよ!」「マスターが訓練してあげてよ!」と言い、やれやれと言いながらミチトはコテンパンにする。シャゼットの使い方がまだ甘いナハトに「俺に似た剣だ、脱着の訓練をしてあげるよ」と言って使い方を仕込んだりもした。
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