第14話 闘神の受勲式。
城に感動したのはラミィで「ふわぁぁ…、お城!お城ですわメロ姉様!」と言う。
それを横目で見たミチトは「ええぇぇぇ…城だけどそんなに感動する?」と呆れる。
タシアはミチトを見て「お父さんは凄いと思わないの?」と聞いている。
「マスターはお城嫌いですからねぇ」
「本当。タシア、好き好きは人それぞれだよ」
城にはロキとマテ、2人の息子のロードも来ていて子供達も久しぶりのロキとマテに喜ぶ。
「ご無沙汰しています」
「皆!マーちゃんだよ!」
子供達はいろめき立ってマテに飛びついて「マーちゃん!会いたかった!」とやっている。
「マテさんに勝てない」
「マテ…」
「本当、マテさんには敵わないわね」
「仕方ないよ、マテさんだもん」
「イブも飛びつきたくなります」
エーライは息子リッパーと娘ミコット、妻のエクセレンを連れて来ていた。
「友よ、良く来てくれた」とエーライが声をかけるとミチトは「…フルメンバーにします?」といって呆れ顔になる。
ミチトが「どうも久し振りです」とエーライの家族に会釈をするとリッパー達は「闘神様もご機嫌麗しゅう」と挨拶を返しリナ達も慌てて挨拶をする。
リナも子供達と一緒にローサの元でマナー講習を受けているので様になっている。
混乱するのはタシアで「お父さん?エーライさんが王様なの?」と言う。
エーライは何度かトウテに遊びに来ているので子供達も話したことがある。
明るいおじさんだと思っていたら王様だったとあってタシアは驚いてしまっている。
ミチトの「そうだよ。でも俺と会うのは王様じゃなくてエーライさんでトーシュ王とは友達じゃないような」と言った説明で何を言いたいかわからないタシアが「えぇ?わからないよ?」と言うとメロが「タシア、難しく考えないで。トーシュ王は王様だからあまりお友達とか作れないの。だからトーシュ王じゃなくてエーライさんになった時だけパパのお友達なんだよ」と説明をする。
「あー…成る程。じゃあ今日ははじめましてだね!メロ!」
「うん。正解だよ」
「あれ?アクィの奴はどこ行ったんだ?」
そう言うとすぐにロウアン達を連れて戻ってきて「折角の受勲式ですもの」と言う。
「…たかだか道路作って温泉引いてフォームの地滑り跡地を直しただけで受勲っておかしいんだってば」
そう言ってブツクサ文句を言うミチトにロキが渋い表情で「ミチト君、何年経てば一般的感性が身につきますか?」と言うとミチトは「一般的ですよ」と返す。
ロキは横のローサを見て「…母上」と言うとローサは「…直らないのよね」とぼやいた。
ロキが話しを変えるために「そういえばヨシから聞きましたがディヴァント領の舗装はやってくれているとか」と別の話しをする。
ミチトが「ええ、オンマ達も歳ですし少しでも歩きやすい道にしたいんですよ。自分の住む土地くらいはやりますよ」と人差し指を天に向けてクルクル回しながら説明するとシックが「ミチト君、マ・イードは君の住む国だよ」と言い、テンポ良くアプラクサスが「ミチト君、どうせならミチト君の住む世界でも構いませんよ」と言う。
「仕事増やす気ですか?とりあえず偉業なんて成してないんですから騒ぎ過ぎです」
ここでメロが「パパ、人が100人以上必要な仕事を1人でやったら受勲、何年もかかる仕事を1人でやっても受勲だからね、パパは昨日と一昨日で1人で全部やったんだよ?だから盛大な受勲だよ」と言って説明をするとようやく自分の行動の異常さに気付きながらも「マジか…、でも昨日ってタシア達もついて来てくれたよ?1人じゃないよ?」と言って何とかしてしまおうとしていた。
「ミチト、それ見学」
「うん。見学だから違うよ」
「マスター、諦めてロゼ達に格好いい姿を見せて来てください」
「ほら、行くわよ」
妻達に言われるまま城のバルコニーに出ると広場には第一から第四までの騎士団が整列をしていてその後ろに集まれるだけの平民が「闘神様ぁぁっ!」と声を送る。
当然ドン引きのミチトが「…マジか、ここまでするか?」と言って嫌そうに周りを見る。
タシアは「お母さん…なにあの人達、お父さんのじゅくんって奴にこんなに人が来るの?」と腰が引けていて、ラミィは「パパはやっぱり凄い方ですわ」と嬉しそうに言うが、ジェード達から「ラミィ、足震えてる」「声も震えてるよ」と突っ込まれる。
エーライが前に出て右手を挙げると広場はシンと静まり返る。
「余の名はエーライ・トーシュ・マイード!本日は育児に目処の立った闘神ミチト・スティエットがジャックスからフォームまでの道路工事をわずか2日で終わらせてくれた。そして今まで溜まった偉業の数々の受勲式を執り行うために集まって貰った!」
「え…道路工事だけじゃないの?」
「友よ!治癒院にもたらしたロエスロエの治療法、ニクグサレの治療法、そしてオッハーからの意見を元に生み出した菌を殺す術、北のオオキーニの侵攻を止めてくれた事、それ以外の細やかな偉業の数々を称えてここにスティエット勲章を用意した。受け取ってくれ!」
「…うわ。なにそれ」と言いながら受け取った勲章はとても豪華だった。
「全部金と白銀?それに宝石?いったいいつから用意したんですか?」
「オオキーニの侵攻を止めてくれた時に用意したがラミィ嬢の生存でそれどころではなくなったのだ」
ミチトはマジかと胸に付けられた勲章を見てしまうとエーライが「ひと言貰えないか?」と言い、ミチトは周りを見て「なに話せって言うんです?」と真っ青になる。
「こう言う時は自分が居るから安心して健やかに生きろとかだね」
「…俺なんてなにもしないのに」
ミチトは子供達のためと覚悟をきめて前に出ると話始める。
「皆さん、俺はこれからも困った話が有れば可能な限り対処していきます。それなのでご安心…ちっ!」
突然の舌打ちの後で王都に3つの落雷。
そして並んで見ている貴族達の方を見て「イイーヨ!イイダーロ!ウシローノ!空き巣だ!今の場所で痺れて動けなくなっている!捕まえてこい!イシホさんはドレスだから留守番!」と言う。
「くそっ追加かよ!アクィ!イブ!ライブ!ってウチの奥さん達もドレスだよ…俺が行く!広域伝心術!お前達はもう逃さない!」
ミチトが消えると広場に大歓声が湧き上がり「闘神!」「ありがとう!」と聞こえてくる。
それを見て震えるタシアが「メロ、僕もお父さんみたいになれる?」と聞く。
「うん。だってタシアはサルバンの訓練が余裕でしょ?」
「あれはパテラおじさんが子供用だって言ってたよ」
「じゃあ今度大人用をお願いしようか?」
「うん!」
だがタシアは知らない。
完全に大人と同じ訓練メニューを子供用と言われただけで既に第三騎士団以上の訓練メニューをこなしている。
「自信ないけど術も教えてもらわないと」
「うん。メロからもパパにお願いしておくよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます