第12話 働く父ちゃんの背中。
向かいで聞いているナハトは話の大きさに意味がわからなくなり「メロ…?お兄さんの言うフォームってウチのフォームでジャックスってどこら辺にあるんだ?」と聞く。
メロは普通に「サルバンの東、王都の東南だよ」と説明をする。
「1日?馬車で5日とか6日くらいじゃないのか?」
「うん。パパなら1日なんだよ」
「うわ…恥ずかしくない弟にならないと」
「うん。頑張ってねナハト」
この会話中もミチトは敷き詰める鉱石の話なんかを始めて暴走気味だったが、メロはミチトをうまく押さえ込むために落とし所として元々の道を聞くと大昔に作ったままのロクな道では無かったので鉱石を使うことは止めて、2日かけて念入りに馬車3台分の広さの道を作って、1日目はシックとジャックス領から半分の距離を、2日目はアプラクサスとフォーム領から初日の最後に作業した場所までを繋ぐように指示をし、初日の夕飯は家族で王都の食事所で食べて別荘で眠り、2日目はトウテで皆でご飯にする話にする。
ミチトは子供達の事を考えて「えぇ…たったそれだけでいいの?」と不満を漏らす。
ウシローノが「たったって…イシホさんと僕達で何ヶ月もかけた作業ですよ?」と言い、イシホも「本当ですよ?」と呆れる。
そう言われてもまだ不安なミチトは「シックさん、他に何か希望ありませんか?」と聞くとシックは嬉しそうに「え?いいのかい?」と言う。
「ええ、子供達にも働く姿を見せる為です」
「それではジャックス領には温泉が沸くらしいのだがジャックスにはまだ温泉が無いんだ」
「風呂を作ればいいんてすね?余裕です」
「じゃあパパ、一番風呂を家族で入らせてもらおうよ!そうしたらお風呂好きのフユィはパパ以外の彼氏とか言わないよ!」
「それだ!シックさん!任せてください!」
「よろしく頼むよ」
モバテ達はこっそりとメロに感謝を告げる。
そして良ければとサンクタ達も「是非お子様と来て山道の補強を頼めないか」と言うと「是非!」と逆にお願いをされる。
こうしてパーティーは終わり、ミチトはナハトとサンクタ達を連れてカラーガに送り届ける。メロは着替えは収納術に入れたからこのままローサ達に見せたいと言って着替えずに帰ると言う。
「ナハト!頑張ってよね!」
「ああ!頑張るよ!ありがとうメロ!お兄さんまた!」
ナハトを迎えに来たナノカや同僚達はメロの美しさに言葉を失いミチトの機嫌をしっかり悪くさせた。
この後、メロはローサにドレス姿を披露して称賛を貰う。そしてミチトを王都に引っ張り出した事にも「あらあら、メロちゃんが1番ね」と褒められる。
「ありがとうローサお婆様」
「うふふ。本当綺麗。自慢の孫だわ」
「皆綺麗って褒めてくれたけどそうかな?ドレスが綺麗なだけだと思うんだよね」
「まったく、そんなとこまでミチトさんに似ちゃったの?」
ロウアンもメロを見て感涙して「またドレスを作ろうね」と声をかける。
メロは大鍋亭に帰る前にミチトに抱きついて「パパ、今日は1日ありがとう。闘神のパパといられて、メロはとても幸せだよ」と言うとミチトも「いや、メロがお姉さんになっててビックリしたのとナハトとの事もありがとう」と返す。
それが嬉しかったメロは顔を真っ赤にして嬉しそうに「パパ!」と言う。
「メロ、久しぶりにギュッとしようか?」
「うん。恥ずかしいけどして」
「メロ〜!」
「パパ〜!」
ミチトはメロを抱きしめてメロは子供の顔でミチトの名を呼ぶ。
大鍋亭に帰ると皆がメロの美しさを褒めてまだ3歳のコードは「わぁ…メロ綺麗」と顔を真っ赤に照れた。
「えへへ、照れるよぉ〜」
照れながら自室で普段着に戻ってきたメロは「明日から少し忙しいんだよ」と説明をして何があったかを伝える。リナ達は見事に乗せられたミチトを哀れみながら見ると、ミチトはベリルを抱っこして「明日はパパのお仕事について来てね」と話している。
「お父さん!僕は?」
「タシアも、子供達皆で来てお父さんが道路を作るのを見てて欲しいんだ」
「パパ!ラミィも行っていいの?」
「勿論!」
「お父さん、私は?」
「シアも行こうね」
「マスター!イブは?」
「イブも行く?いいよ。アクィも来る?道路の後でジャックスさんの街に温泉作るんだよ」
「行くわ!」
「パパと温泉!楽しみですわ!」
こうして明日の大鍋亭は休業となって家族ででかける事になる。
ミチトは2日かけて立派な道路を作る。
連結術という術を新たに作って子供達を自分と繋げると滑走術で走りながらさっさと走る先から目に見える道を土の術で立派な道路に作り替えていく。
そして目標の場所で早すぎるからと子供達を遊ばせてから、夕方ジャックスに戻るとシックとジャックスの見ている所で温泉を掘る。
硬い岩盤が邪魔をしていたがミチトにはなんの問題もなく掘り抜いて温泉を掘り起こすとトウテに作った露天風呂の倍の大きさにする。
「今日は土の壁にしましたけど、建物はよろしくお願いしますね」
「ありがとうございます闘神様、この温泉は闘神の湯とさせて貰います!」
そう喜ぶジャックスにライブとの子供、ジェードが「パパ、闘神って何?」と聞くとミチトは人差し指を天に向けて「んー…、シックさんがつけたあだ名かな?」と説明をする。
横でシックは「ジェード君、君のパパはこの力でいつもこうして人々の為に助けてくれるんだよ。君達が生まれる前は悪い奴らを倒して来たんだよ」と自慢げに説明をする。
「え!?パパって強いだけじゃなくて悪い奴もやっつけて道路を作ったり温泉を作るの?」
「お父さんは洪水する川を直したりもするってお母さんが言ってたよ」
「そうさ、本当は危険な仕事で何人もの人が何年もかける事をあっという間にやってくれるんだよ」
普段は嫌な気分になるシックのオーバーリアクションも小気味良く、聞くたびに子供達は尊敬の眼差しでミチトを見る。
ミチトは照れながら家族で風呂に入る。
風呂は源泉だと熱すぎたので少し山を作って山肌を流れて浴槽に入る頃には適温になるようにした。
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