第10話 判明する誕生日。

シヤとシーシーが双子の子供、シーナとヨンゴを連れてきた。

多分シヤの真模式の力だろう。

シーナもヨンゴも亡くなってしまったシーナとヨンゴにかなり似ている。


「マスター、来たよ」

「こんばんはマスター。ウシローノさん、イシホさん、お邪魔します」


「こんばんは、ようこそ」

「ゆっくりしてね。シーシーちゃん。2人とも大きくなったね。4ヶ月ぶりくらいかな?」


ここでミチトが今の発言を気にして「あれ?王都に住んでるのにそんなに会わないの?」と聞くとシーシーが「マスターが来ないと何となく会いにくいんだよ、私たち平民だしこのお屋敷にフラッと来れないもん。それにお休みはシーナとヨンゴの事もあるし」と説明をする。


「成る程」と言うミチトにシヤが「だからマスターが王都に来ないと困るから今日はメロに感謝だ」と言う。


そのシヤはドレス姿のイシホを見て「イシホ?何でいつもドレスを着ると背中の傷を目立たせるの?この前クラシがボヤいていたよ?」と聞く。


イシホは自慢げに「カラーガだからかしら?」と言って背中をアピールしながら「傷がだんだん自慢になってきたの。まあクラシ君からしたら自慢のヒールでも消せない傷みたいにみえるから嫌かも知れないけど私には自慢したいからついね」と言って笑う。


シーシーはメロに話しかけてメロも嬉しそうにシーシーと話をする。

その時、「マスター」「こんばんは」と言ってミチトの足元にはシーナとヨンゴがチョコチョコとくる。


「やあ、元気かい?」

ミチトは優しく2人を抱きかかえて話しかけるとシーナは「はい!」と答えてヨンゴは「おう!」と言う。

横に居るシヤに「シヤ、もうすぐ3歳だよね?」と聞くと呆れ顔のシヤが「マスター、もうすぐって後半年もあるよ。また当分トウテに引きこもるの?」と聞き返してくる。


ミチトはバツの悪い顔で「あはは」と笑って誤魔化すと、もう一度シーシーを呼んでナハトを紹介する。シーシーは穏やかな微笑で「シーシー・トウテです。このシヤの奥さんです。今は騎士団はお休みしていて、仕事はたまに治癒院で少しだけだからあまり会えないけどシヅ達が意地悪言ったりしたら私に言ってね」と言うとナハトは入団前に知り合いが増えて嬉しいと喜んだ。



人と料理が揃った所でメロの15歳のお祝いが始まる。

「皆さん、ありがとうございます。私はとても幸せです。パパに助けてもらってから毎日が幸せです。そして今日はパパとナハトが一緒にいるところも見られて嬉しい。サンクタ様、本当に私のワガママを許してくれてありがとうございます。ウシローノお兄ちゃんもイシホお姉ちゃんも今日はありがとう。シック様もアプラクサス様もモバテ様もこのお洋服とかをありがとうございます。

パパ、本当に今日はありがとう。パパが王都に来てくれないと皆で会えないんだからね?さっきシーシーお姉ちゃん達に言われてたよね」


メロの挨拶の後でアルマとマアルが花束をメロに贈る。

拍手の後で向かいに座るナハトが「メロ、お誕生日は来月の頭なのに良かったの?」と聞く。


その言葉にミチトが「は?」と聞き返し、メロが「え?」と言った数秒後、「…あ!?ナハトはメロの誕生日知ってるのか!」とミチトが言葉の意味を理解した。

当のナハトは「え?誰も知らないの?」と意外そうにミチトとメロを見た。


「そうだよ。だからメロの誕生日は俺と同じにしてたんだよ」

「うん。メロのお誕生日はパパと同じ先月の真ん中だよ」


ここでメロの誕生日が判明してしまうと色々どうしたものかと言う話になる。


「メロ、これからどうする?」

「メロのお誕生日はパパと一緒。ナハトの知ってるお誕生日のメロは4歳までだよ」

だがメロは自分の誕生日はミチトと同じだとハッキリと言って終わらせてしまう。

ミチトとメロには親子以上の親子の絆があると皆が再認識して温かい気持ちになった。


そしてこれで終われば良い話なのだが、エーライが「メロさん、お誕生日のプレゼントを持ってきたんだよ。受け取ってくれるかな?」とやり出した。


「エーライさん?良いんですか?」

「うん。友達のトーシュ王と2人で用意したんだよ!」

そう言ってエーライが出したのは全ての支払いがエーライになる書状だった。

ミチトは自身も持っている書状を見て「げ…。なんてもんを娘にくれてんだよ」と文句を言い、メロは勿体なそうに「いいのですか?」と聞く。


「うん。引きこもりの闘神を王都に引っ張り出してくれた功績かな?」

「わぁ!ありがとうございます!パパ、今度これで地下喫茶に連れてって!」


地下喫茶にサンクタ達がどよめきの声を上げてアルマとマアルが「イシホ姉様」「地下喫茶とは?」と聞く。

イシホとウシローノが言葉に困る中「凄いお茶とかケーキの出てくる喫茶店だけど大人にならないと入れないの。うちのライブお姉ちゃんがお勧めしてくれたからメロも行ってみたいんだ」とメロが説明する。


何も知らないナハトはイイヒートに聞いてみるが、イイヒートは「俺もアメジストさんと行きたいのに…」と言って話にならない。その横のシヤが「料理は滅茶苦茶美味しいがすごく高い。騎士団のお給料1ヶ月分で紅茶一杯だ」と説明して改めてナハトはメロが遠い存在になったと思い知らされる。


ミチトは父親の顔で「メロ、地下喫茶だなんて!」と言うと、メロは意地の悪い笑顔で「えー、パパと行けないなら誰と行けば良いんだろう?」と言う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る