第8話 晩餐への招待。

メロの笑顔で全てを諦めたミチトは「…ったく」と言ってナハトを見ると「ナハト、帰り遅くなるからな」と言う。ナハトは「え?お兄さん?」と聞き返すが、ミチトは答えないままに「まったく、じゃあリナさん達に帰りが遅くなることと夕飯の話しないと」と言いながら術を使おうとするが「ううん。お母さん達には夜ご飯いらないって言ってあるよ」とメロは言う。


「え?なんで?モバテさん達ってそこまでグルなんですか?」

「なんも知らねえって、睨むなよ」


「パパ、きっとパパと王都まで行ったら久しぶりだからって皆さんから御招きいただくと思ったし、仮に違ったら2人で北部料理のお店に行こうって言うつもりだったんだよ」

「マジか、じゃあ2人で北部料理のお店に行く?」

この面子が居ても誘いを無碍にすると言うミチトにナハトが心配そうに「お兄さん…それはダメじゃないの?」と聞く。


ミチトは真剣な表情で「ダメじゃないよ。俺は王都に来ると何かしらトラブルに巻き込まれるん・・・」と途中まで言いかけて「って言ってる側から火事!シイ!シヅ!ヨミ!今度は国営公園の先で火事!火は俺が消したから負傷者を治癒院に運んで!」と声を張る。

不満げな顔で「ほら」と言うミチトに「あはは…。お兄さんが格好良すぎて嬉しいよ」とナハトは言った。


格好いいと言われたことが意味不明のミチトは「わからない」と言った後で「とりあえずナハトも王都に来たら北部料理のお店に行って食べてみるといいよ。ナハトの好み知らないから感想聞きたい」と言い、ナハトも「うん」と返事をした。



会話の後で現れたのはサンクタ1人だけで非常にバツの悪い顔をしている。


「うわ…トラブルですか?」

「いえ。あの…。出来ましたら夕食にお招きさせていただけませんか?」


「は?」


サンクタに聞いたら、王都でカラーガが使っていた家は今はアルマとマアルが王都に来られる日まで管理という名目で娘のイシホが夫のウシローノと住んでいて、今日の話をするとナイワ達と手を組んでメロの誕生パーティーの用意を始めてメロ達を招きたいと言い出した事だった。


「サンクタ様…ありがとうございます。あの…ここの全員で行って良ければ喜んで行かせていただきます。モバテ様も宜しいでしょうか?」

「構わないよ。じゃあまた別の日に何処か招待させてくれるかな?」


サンクタは内心どこかでこのメンバーも来ることを予測していたが、予測の範疇に居ないのはエーライで、恐る恐る「…陛下は…」と聞くと、エーライは「陛下?誰それ?僕はエーライ・カーターだよ?」と言うとサンクタは「是非お越し下さい」と言って恭しく頭を下げた。



ここで会食がパーティーになってしまった事で更にミチトがゴネかけたが「メロさん、少しお時間を私達に貰えるかな?サンクタ・カラーガも準備により気合を入れたいだろう?」とシックが言い始める。


「シック様?」

「とりあえずナハト君はイイヒート君について行って第三騎士団の訓練場を見させてもらったり王都を案内してもらうといい」


「はい。イイヒートさんよろしくお願いします!」

「うん。まあ良いけど、リミール様?我々は直接カラーガ様の邸宅を目指せば宜しいのですね?」


「そうなるね。シヤ君は奥様と2人の子供達を迎えに行くといい」

「はい。じゃあそのままイシホとウシローノの家に行きます」


この言葉でナハトとイイヒートとシヤは退室し、「サンクタ・カラーガ、しっかり準備してくれたまえ、本日の主役は正装で伺うからね」と言われたサンクタはわかりましたと言って屋敷に戻っていく。


「…シックさん?」

「おや、わからないのかい?私もアプラクサスもモバテ殿もメロさんにプレゼントをしたいのさ、私はネックレス…は良くないかな?ですが出来たら本日は受け取ってもらえないかな?」


この申し出にメロは「パパのネックレスをブレスレット代わりにしますからありがたく頂きます」と返事をするとアプラクサスは「では私は靴をお送りさせていただきます」と言う。


メロが「アプラクサス様もありがとうございます」と言えばモバテは「では私はドレスだな。今すぐに人を集めよう」と言った。


「ええぇぇぇ!?大事になってる?なんで?」

「ミチト君、ドレスは君の好みで決めた数点からメロさんに一つ選んでもらうよ。そして正装をしたミチト君と腕を組んで馬車からカラーガ邸に入っていく。ミチト君なら術でその姿が見れるんだよね?」


言われながらイメージをするミチトにメロは私ではなく「パパ、お願い。メロそのお祝い欲しいよ」と言う。


「…貰った宝石の他にパパもアクセサリーを複製するから着けてくれる?」

「うん。宝石のない指輪がいいよ」

この言葉でスイッチの入ったメロは「行きましょう!シックさん!モバテさん!アプラクサスさん!」と言って立ち上がる。


何年経ってもミチトはちょろい。

メロ達の事になると途端にハードルが下がる。

更に言えば普段物を受け取らないメロが物を受け取るとなればハードルなんてものは全撤去になる。


ミチトの中でメロには緑や黄緑色と言う何かルールでもあるのか緑色主体のドレスの中からメロが選んだドレスは長めのスカートが特徴のエメラルドグリーン色をしたドレスで、超特急でメロの体型に調整されていく。

そしてミチトはメロの横に立つ為と言われてこっそりシックが用意していた正装に着替えさせられる。


城の一室でメロがアクセサリーを選んでミチトが買うだけ買って複製した方の指輪をメロに渡すとメロはそれを持って着替えに行く。

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