第28話 2023年度 極上の蔓モノを作れ

 さて、あれよあれよという間にすっかり梅雨に突入。昼行燈の窓際サラリーマン稼業ゆえ、土日しか野良仕事の時間が取れない上にさらに週末の雨で作業がふんだんに遅れてしまっている。

 急ぎ、昨年はあやふやにしてしまった摘芯をしなければならない。摘芯とは親蔓の本葉が5~6枚に生育した頃、子蔓に実が着きやすいので親蔓をちょん切る作業だ。

 さて、スイカ・メロン・カボチャ・ゴーヤとも、親蔓においては太く勢いがあるので直ぐに見分けがつく。しかし子蔓はというと、なかなか見分けがつかない。葉っぱの付け根から伸びてくるものなのか、茎から新しく出てくるものなのかよく観察しても一向に分からない。

 マニュアルには子蔓4本整枝の2果採りなどと書かれてあるのだが、実際どれだ? 結果、分からないものは分からないので兎にかく親蔓をハサミでチョキンとやってみる。――んんっ。一週間後、何とか子蔓のようなものが数本、どの株からも伸びている。

 子蔓が伸びれば次は整枝だ。整枝とは子蔓の中で生育のよいものを3~4本残し、それ以外の芽は摘み取る作業だ。よし、これも勢いのいい蔓を残し、あとは間引いた。残した蔓には園芸テープでマーキングして蔓管理だ。

 さらに一週間ほど経過すると、もう早や鶏卵サイズの実を着けている蔓もある。昨週は雌花が咲いていることに気付かなかったか、蔓科の成長は非常に速い。実を着けているということは受粉が完了しているということ。蜜を集める虫が活躍してくれたおかげだ。よって人工授粉は省略。

 ここでさらに蔓管理に戻る。4本ほど伸ばした蔓の、根元から数える葉っぱ18枚目~22枚目くらいに雌花を咲かせ着果させれば形・味のよいものが出来るという。ひと蔓に1果が原則。加えて、18枚目以前の孫蔓や開花は養分凝縮のために除去。22枚目以降の側枝は基本的に放任でよいらしい。畑の真ん中でマニュアル片手に実践だ。

 忘れてはならないのは最重要の追肥。今年チャレンジのミソだ。実が鶏卵くらいの大きさになった頃、魚粉を水に溶かして液肥化。1株あたり70gを、2回に分けて撒布だ。

 なぜ液肥化するのかは、窒素・カリは雨が降れば溶けて土中を移動できるが、実に効果が出るリン酸は移動し難く、表面散布では根に届かない…というからだ。それを確実に届くよう2回の小分け。ちなみに魚粉は有機肥料の中で、数少ない追肥に用いることが出来る速効性肥料と言われている。


 これらスイカ・メロン栽培を基本にカボチャやゴーヤにも適用してきたのだが、西洋カボチャでおいしいものを期待するのであれば親蔓1本子蔓1本整枝の2~4果採り、実の収穫よりゴーヤガーデンを作るあれば親蔓摘芯とその後の子蔓も摘芯し、孫蔓をワサワサにさせるという楽しみ方もあるようだ。


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