第20話 アズキ
黒いプールに浮かぶ白い玉。白玉ぜんざい。
冬に味わうこのコントラストが子供の頃を想起させて無性に懐かしい。夕食後の赤飯の後に煎茶と一緒に味わっている。
赤飯を炊いたのはお祝いか!? いや、そうではない。単にアズキを収穫したからだ。普通の野菜よりかなり手間がかかったが、こうして食卓に並べてみるとなかなか苦労が報われる。
想い起せば7月中旬。スイカ・メロンの収穫を終えた畝。
「何も植える予定がなければこれでも植えてみたら」と菜園のお隣さんからビニール袋の包みををもらった。中にはアズキが手のひらひと掴み分。
「これはどういう風に植えるの?」
「これは苗からじゃなくて、種から植えるんだよ。根が弱い作物は種からね。なあーに、簡単だよ」と。
しかし、種の播き方も育て方も全く知らない。早速、パソコン教授のお世話になる。
土作りは日当たり・排水のよい、痩せた土地を好む。水も肥料もあげ過ぎないのがポイント。養分は窒素1:リン酸3:カリウム3の割合。具体的に言えば、一坪=2畳あたり、窒素7g:リン酸20g:カリウム20gだ。これは元肥だけでよく、基本的に追肥の必要性はないようだ。
種播きは10㎝間隔なので、市販の穴あきマルチが適当だ。安全をみてひと穴に2粒播き、2つとも芽が出れば弱々しい方を間引く。水遣りは発芽までで、その後は天候任せでよい。あとは育ってきたら支柱を立てて倒れないよう管理するのみ。
ざっとこんなもんだ。実践あるのみの生えたら生えたのほったらかしだった。
11月。株にぶら下がっていた緑色の莢が茶色がかってきた。そろそろ収穫のサインだ。
基本の基本は茶色く乾燥し切った莢を一つ一つ丁寧に収穫するとのこと。株単位の収穫は、未成熟の緑の莢が混じってしまうので避けた方が無難だ。
実際はこれがひどく手間がかかる。作業効率を優先して莢が緑色の時に一斉に株ごと抜き乾燥させる方法、また逆に全て茶色く成熟してから収穫する方法などもあるようだが、どちらも莢の中に潜んでいる害虫対策として難しそうだった。
さあ、たいそう大変だったが赤飯もぜんざいも三回は炊けるほどの収穫が叶った。全くの農薬不使用だったので、一ミリほどのプランクトンのような虫がプカプカ泳いでくることはあるが…。
写真掲載中
Instagram:https://www.instagram.com/linyechiku/
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