第19話  刃物研ぎ

 12月。気温も低く寒くなってくると草木も冬眠に入ります。眠るというか春が来るまで耐えるといったイメージでしょうか。夏にはあんなにぼうぼうに生えていた菜園周りの雑草も、根だけ残して茎の部分はすっかり枯れてしまっています。

 鍋に入れて美味い野菜―冬の白菜、人参や大根などは来年チャレンジするとして、今まで慌ただしく野良仕事に精を出した分、圃場のメンテナンスに取り組みながらゆっくり過ごそうと思います。手堀りで作った水源の泥の掻い出し、ぽっかり穴の空いた地面を平らにならしたり、畦を整備したり…。

 なかでも道具のメンテナンスは大切な作業の一つです。よく使うカマや剪定バサミがだんだん切れなくなってきました。ちょうど年の瀬も迫るスーパーの売り出し市、「研ぎ師来訪」といった見出しが目についたので行ってみることにしました。


「さあさあ、奥さんは包丁一本ですかー」

「ご主人はハサミですね」

 研ぎ師が忙しそうに手を動かしながら、列を成しているお客をさばいています。なかなかの繁盛っぷりです。シャカシャカと小気味良い音を立てながら、次々にシャープな刃先を仕上げていきます。

 技は見て盗むもの。そう教わってきた愚生としては、脇でよ~く観察せざるを得ません。


其の一 砥石の粗目と細目を用意する。

其の二 砥石をしっかり固定し粗削りで粗目から、次いで細目で仕上げていく。

其の三 方法として刃の表面(角度がついている方)を先ず研ぐ。

    刃の裏に人差し指と中指の二本を添えて、表面角度が45度になるよう極め

    め、人差し指・中指幅2㎝ほどの間隔で、刃の根元から刃先まで順次研いで

    いく。

    緩めの力でシャカシャカといったイメージだろうか。

    適宜二、三滴の水をしたらせ研いでいく。研いでいくうちに上澄み液が出て

    くるが拭き取ってはならない。これが研磨には重要。

其の四 表面を研いだ後の裏面は研がない。表面を研いだ時に出るささくれを取るた

    め、一方向に軽く数回砥石を這わすのみ。

 

 総時間にして二、三分。切先に試し紙を当ててみると、見事に切れ味滑らかな刃物に生まれ変わっています。

 さらに「電動サンダーで研ぐ」「片方の手で刃を持ち、もう片方の手で砥石を擦りつけて研ぐ」方法も目の当たりにしましたが、これは上級者向きのようです。

 さて、家に戻って早速やってみよう。逆に切れなくなっても見様見真似なので自己責任哉!


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