第12話 サツマイモ

 さて、サツマイモ苗の植え付けから一週間後。

 萎れて葉もところどころ黄ばんだままだ。見事に枯れていく――と思ったがそうではないようだ。

「二、三週間、根付くまではこんなもんだよ。根が張れば新しい葉も出てくるよ」と斜め向かいの畑ばあちゃん。

「苗を植え付けた後は根付くまで朝晩の水遣りは必要だけど、サツマイモの場合はそんなに神経質にならなくてもいいかもね。二、三日に一回くらいでいいんじゃないの」と適切なアドバイスも。

 さらに二週間後、植付けから約一か月。

 全体的に葉がワサワサになっている。これば完全に根付いた証拠だ。しかし数か所は本当に枯れ朽ちた苗も見受けられる。新しく補充して植えようにも時期が遅く、もう売られていない。

「そういう時はだねぇ」ばあちゃんの登場だ。

「葉が6~8枚になっている大きく成長した苗があるだろ。その先っちょをちょん切って移植するんだよ。芋ヅルの葉の根元に不定根といってツノ状のヒゲが出ているやつをね」

 なるほど。通常の植付けから一か月は遅いが、何もしないよりはましか……。ちなみにこの不定根が成長してイモ本体になるそうだ。

 いろいろやり方はあるものだ。感心した!


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