第11話 スイカ・プリンスメロン
さて、摘芯・整枝も終え植え付けから二か月ほど経った頃、すっかり花も咲き、中には卵くらいの大きさの実を着けている蔓もある。手探りながら首尾は上々だ。マニュアルによると、本来ならばここで人工授粉をしなければならない時期だ。
「人工授粉とは晴れの朝方、雄花を摘み取り膨らんだ根元が特徴の雌花に、人の手によって受粉させること」だそうだ。
どれが雄花でどれが雌花か…とまごついていると、それを察してか畑の師匠が近寄って来た。
「ここの畑は蜜を集める昆虫がたくさん飛んでいるから、人工授粉はさせるまでもないかもな」
なるほど。またしても経験に裏打ちされた含蓄ある言葉だ。なので、人工授粉は省略だ。と同時に摘果。ひと蔓に一果を基本とするようだが、なんせ欲張りのゼイタク丸かぶりするのが愚生の目標。一果にすると栄養成分が凝縮して旨くなるというが、これもいっそ省略だ。ただ、実より下の孫蔓や脇芽だけは養分が分散するだろうから摘み取っておいた。
今日はこれで鳥除けネットを被せて様子をみる。「カラスも賢いので早々に青臭い蕾などつつきに来ない」と師匠には笑われたが。
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