第9話 サツマイモ
イモは好きですか? イモはイモでもジャガイモではなくサツマイモ。ほくほくとした食感の金時芋にねっとり甘い安納芋。子供の頃は焼き芋屋さんのポ~音が聞こえてくるたびに、親にダダをこねてせがんだものです。
歳を食ったいいおっさんになって食べなくなったかと言えばそうではない。美味いものは美味い。おまけに昨今の健康食ブーム。身体を気遣うお年頃か、サツマイモに含まれるビタミンC、食物繊維、そして空っぽの脳に効く糖分はもってこいだ。
さて、スーパーに行くと普通のことながら年中所狭しと棚に並んでいる。色も形も虫食いもない申し分のないものだ。しかし、値段はそれなりだ。
一方、郊外の産直市場では地元の農家さんが栽培したものの、流通に乗せられないような規格外のものも売られている。これは値段も品質もまちまちだ。
ならばいっそのこと自分で作ってみよう! 戦時中の食糧難の時代はカンショといって、米の代わりの主食にも押し上げられた作物だ。窓際族である愚生の生活もまさに肩叩き攻撃をかわす非常事態真っ只中だ。この食料は作るにドンピシャである。
さて、早速土作りに取りかかる。調べるに根菜類は窒素成分を少なめに、リン酸・カリを多く土に入れるのが基本のよう。畑の師匠曰く、「鶏糞がベスト」とのこと。なので、生ゴミ堆肥をバケツ1杯分と少々、鶏糞を1袋15㎏を投入し鍬でよく撹拌してみた。畝は幅50㎝×長さ10mだ。
畝の仕上げで重要なのは「高さ」。これはサツマイモが水捌けのよい土地を好むからだ。高ければ高いほど水が下に捌けていく。愚生は高さ30㎝の畝を立ててみた。そして最後やはりマルチを張る。特にサツマイモ栽培は常温以上がベストと言われ、保温性をよくしなければならないためこれは欠かせない。
さあ五月、ゴールデンウィークだ。土を作って二週間待った、植付けだ。
張ったマルチにザクザクとカッターで穴を開けていく。愚生は欲張りなので植付けを二列にしてみた。その穴に苗の茎よりやや太い棒を差し込んで次々と植え込んでいく。
苗は「縦に挿して植付けると、少ないけれど大きいイモ」が、「斜めに寝かせて植付けると、多いけれど小さめのイモ」が出来ると言われている。今年は斜め植えを実践だ。植付けの間隔は20㎝から30㎝、苗の長さ四分の一頭先を出して植付けた。
そして最後コンパニオンプランツ。コンパニオンプランツとは共生植物のこと。害虫除けや生長促進の効果を期待できるという。サツマイモの場合は赤紫蘇だ。
サツマイモの宿敵であるコガネムシの成虫は葉を食べる。幼虫は根をかじる。しかし赤色を嫌うので、芋の食害を防ぐことが出来る。また、窒素成分が多過ぎるとサツマイモの蔓ばかりが太り、肝心のイモが大きくならない。サツマイモに過剰な窒素成分を吸収し、自身の生長にあてるのが赤紫蘇というわけだ。で、種をパラパラと適当撒きしてみた。
こんなに適当でいいのかというくらいの足早感はあるが、そこは真剣勝負。ぶっ込んだ時間・労力・カネは回収したい。ちなみに植えたのは金時芋。高級栗のようなほくほくのやつを思いっきり食ってみたい。
写真掲載中
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