14.何年越しの仕返し
「ははははは。ほんまそっくりや!」
珠里亜はリュートの顔を見るなり笑い出した。
「亜瑠子ー冬彦ー、こっちおいでー」
突然の来客に驚いて隠れていた珠里亜の子供は、冬樹に呼ばれて姿を現した。けれど二人とも叶依や伸尋とは面識がなかったので、かなり緊張していた。
「ほんまは大分前に会ったことあるんやけどなぁ。覚えてないか」
「無理無理。生まれてすぐでしょ? 覚えてないよ」
緊張しながらも亜瑠子はリュートに興味をもったらしく、
「ままぁ。ままはあかちゃんいないの……?」
「はぁ? もうよー生まんわ! 亜瑠子もそのうち生むねんからそれまで待っとき!」
珠里亜が怖かったのか待つことにしたのか、亜瑠子は眠っているリュートに視線を戻した。
「そういえば珠里亜、大分前にすごいこと言ってくれたよなぁ?」
「え? なに?」
「冬樹がいなくなってすぐの頃……海輝のことボロクソ言うてたやろ。忘れたとは言わさんで」
珠里亜はもちろんそれを覚えていて、無意識に冬樹の後ろに隠れた。
「隠れても意味ないでー」
「ぎゃぁぁぁあああ!」
その叫び声にびっくりして冬樹が振り返ると、珠里亜は超小型電子レンジの山に埋まってしまっていた。
「何よもー! もう電子レンジちゃんと使えるわ!」
「そう? じゃこれでどう?」
「うわぁぁああ!」
電子レンジは体育館シューズに変わり、やはり珠里亜はその山の中にいた。
「あの時いつもそれで殴られたしなぁ」
「いやあああ冬樹っちゃん助けてよ! 亜瑠、冬彦!」
珠里亜が助けを求めた三人は確かにその場にいたのだが、誰も珠里亜を助けようとはしなかった。
体育館シューズが今度はペットボトルに変わった。
珠里亜はそれを払いのけようと必死だったが、どれだけ殴って倒してもそれは増え続けた。
「何よも~! いやや~!」
「仕方ないなぁ」
珠里亜を囲んでいたペットボトルを叶依が全部消した瞬間、
「はぁっ?」
珠里亜は叶依に突進してきていた。
叶依は珠里亜の魔法を解いたことをかなり後悔した。
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