未知の店

 セイコは玄関の外に出たら、ペンダントを扉に近づけていった。

 すると、扉は仕掛けが動く音を鳴らしながら鍵を閉めていく。


 分厚い金属で作られた靴の姿をしていて、靴底に四つの車輪が備え付けられている乗り物、電動ローラースケート。


 セイコは、数歩ほど歩いて、地面に置かれている電動ローラースケートに近づいていき、足をもぐらせていった。


 そして、ペンダントに触れ、眼前に映像を映し出したら、つついていく。


(スケートのロックを解除して、それからえーっと、地図を開いて……、『心のマッサージ』入力っと……。よし、目的地の設定完了、っと)


 映像を操作し終えると、電動ローラースケートが動き出し、セイコと一緒に道路の上に移動していった。

 それから、セイコは背中で手を組み、周囲をゆっくり見渡しながら電動ローラースケートに身を任せる。


 そして、セイコが大通りに出ると、他の電動ローラースケートで移動している人たちと一緒に混ざって道路上を進行していった。




 


 数十分後、セイコを乗せた電動ローラースケートは人の気配がしない裏路地へと入っていく。

 それから、【心のマッサージ店】と看板に書かれた地味な店の前で電動ローラースケートは動きを止める。


 セイコは電動ローラースケートから足を外し、道の端に移動させたら、ペンダントを触りながら周囲を警戒した。


(うぅ、なんか危ない感じのところに来ちゃったなぁ……。とりあえず、スケートをロックさせて、と。……はぁ、本当にこのお店大丈夫なのかなぁ?)


 宙をつついて眼前から映像を消し終えても、店の前でたたずみ続ける。


(さっきまで興味津々きょうみしんしんだったけど、今はなんかお店に入りづらい……。体が怖がって拒んでる。……でも、わざわざ時間かけて来たし、予約もしちゃってるし……。うぅ、行くしかない。よし、入ろう、入るぞ!)


 眉尻を上げながら自分の両頬を軽く叩きつけたら、店の自動ドアを抜け、店内に恐る恐る入っていった。

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