第3話

 みっちゃんはたらきバチがもどって再びおどりはじめて百回くらい、はじめからだと二百回以上ダンスを繰り返しただろうか。一向にみっちゃんのおうちをアピールするダンスは増えない。一方で相変わらず見事なみっちゃんはたらきバチのダンスを見物するはたらきバチさんもいた。

 あきらめ切れないみっちゃんはたらきバチは、もう一度、みっちゃんの家に行って、もどってからダンスをしてアピールをすることに決めた。


 (エリアをはなれ、)再びかたまりから飛び出し、堤防をこえ、さらに高く、みっちゃんの家まで真っ直ぐに飛んで行ける高さまで上がっておうちを目指す。ときおり、飛んでる下にみっちゃんの家をこれから見に行くはたらきバチや調べてノロノロもどっているハチ、それぞれ何匹かを目にしたり。やがて、おうちのベランダが見えてきたので飛んでいる高さを下げはじめるみっちゃんはたらきバチ。家のすぐそばで、もう調べたのか、これから調べるのか分からないが一匹のはたらきバチさんとすれ違う。

 窓から(窓ガラスごしに)家の中を見るみっちゃんはたらきバチは、もっとしっかり見るために窓枠にあった出っぱりに止まる。女の子が数冊の本を本棚に返し、読みつかれたのか横になって目を閉じる様子が見えた。

 すると広くはない出っぱりに、さっきすれ違ったはたらきバチが正面に向かい合うように止まってきた。それから、二本の前足でみっちゃんはたらきバチを捕まえ、数秒上下運動をしながら身体を激しく震わせ、みっちゃんはたらきバチに何かを(いっぺんに)たずねた。  

 ヒトの言葉(の意味)になおせば、


人間(の子ども)か? ハチミツは好きか? 名前に〝み〟の文字があるか? 


 そんなことをまとめてきいてるようだ。たずねられている意味がはじめは分からなかったけど(何をきかれているか分からないとその後すぐ、)コンマ数秒後にはみっちゃんはたらきバチの頭(数個のニューロン)の中で、(しばらく前に)ハチミツの入ったお茶を飲みながらベランダにミツバチさんを見たことやねむくなったこともよみがえって、涙も出てないのに前足で目をぬぐってしまう。


 みっちゃんはたらきバチの反応を見て(確かめて)、触ってきたはたらきバチさんは状況が分かったらしく、みっちゃんはたらきバチの前足(首、頭と胸の間)を一咬み、弱くないがケガしない程度の強さで噛んだ・・・・・・


 目が覚めて目をこすって時計を見る。短い針は五と六の間にあった。ずいぶん、ねたみたい。なんか、さっきまでとは違う体みたいだ。ダンスや飛んでる夢を見てたような気もする。

(つづく)

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