第26話 レオ&ドロシーとの戦闘 その③
浮遊感。
小柄なはずのジェルの突進技でレオの体が浮き上がっていくほどの衝撃。
受けた盾は軋みどころが、割れるような音が響いていく。だが────
「な、舐めるなよ! ジェル・クロウが! この程度で俺の戦意は失われることはない!」
盾が砕け散る直前、レオはジェルの突進技を強引に弾いた。
当然、無事ではない。 鎧の一部は破損。
盾を持っていた腕は激しい痛み。骨が折れている。
だが、ジェルが持つ剣の効果────武器破壊を持ってすら盾を破壊させなかったのは、レオの闘志によるものか?
「今だ! ドロシー! ここで決めろ!」
レオの怒鳴り声。それよりも速くドロシーは行動を開始していた。
それは彼女の切り札。その短詠唱は――――
『フレイムショット』
ファイアボールの完全上位互換の魔法。
放たれれば人間の動体視力では捉える事も不可能な高速魔法。
そして、威力は――――
(近くにいるレオも無事にはすまないわ。訓練場の地形すら変わりかねない威力を込めた切り札中の切り札)
そんな危険な魔法を使用したドロシー。 それはある意味、レオの頑丈さへの信頼なのかもしれない。
だが、その一撃――――『フレイムショット』は空中で何かと衝突して、宙で大きな爆発を起こした。
『虚空斬撃翔』
ジェルの斬撃が、高速で飛翔しているはずの魔法すら切り裂いたのだ。
「そんな私の魔法が……あっ!」と彼女は気づいた。
離れた場所から魔法攻撃を受けても、魔法使いである自分なら結界なり、魔法壁なり、身を守る術はたくさんある。しかし――――
(ジェルは魔法以外の遠距離攻撃を隠していた。斬撃を飛ばせる……それも、結界や魔法壁なんて切り裂ける『魔法切断』の効果を乗せて!!)
斬撃への対処方法が存在していない。
彼女は自分自身が無防備な状態だと気づいたのだ。
「ま、まずい。今狙われたら私は――――」
だが、ジェルは無慈悲に刀を――――
「させねよ!」
ドロシーとジェルの間に入った。 ボロボロの盾を構え、レオは剣をジェルに向ける。
「――――」と動きを止めたジェル。
「――――」とそれに合わせてレオも動きを止める。
どちらが先に動くのか? 無言と無音が空間を支配する。
先に動いたのは――――レオだ。
構えは僅かに変化した。 前にした盾を左右に揺らす。
規則正しい左右への動き。 その意味をジェルは知っている。
「その動き……
ここ一番の戦いにレオが使う構え。 ジェルは最初に見た時を思い出す。
それこそ巨大なミノタウロスと戦った時だ。 盾の動きで、相手の攻撃を誘い刺突でのカウンターを決める戦法。
普段の構えと比べると、見た目以上に防御は劣り、代わりに攻撃に適した構えだ。
それに対してジェルは――――
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