第25話レオ&ドロシーとの戦闘 その②
『ファイアボール!』
『ファイアボール』は魔法使いが使用する基本攻撃魔法。
その名前が現すように魔力を火球に変えて発射する魔法だ。
基本と言っても、紛れもなく実力者であるドロシーが使用した『ファイアボール』は別格と言えた。
その攻撃を向けられたジェル本人は、
「さすが、ドロシー……『ファイアボール』がデカい!」
若干、焦りも混ざった笑み。 焦りもありながら、不思議と余裕があるようにも見えた。
事実――――
ジェルは避けない。 いや、避けれないと判断したのかもしれない。
だが、『ファイアボール』に対して正面を向いて二本目の刀を抜く。
右は『名刀 コテツ』 左は『妖刀 ムラマサ』
2つの刀を高速で――――
『天魔六乱舞』
高速6連撃は迫り来る魔法ですら切裂き、かき消してみせた。
「――――そ、そんな事が可能なの? 私のファイアボールが斬られた……まさか『魔法切断』」
「ドロシー、しっかりしろ! ジェルはお前を狙っている!」
「え?」とドロシーはレオの言葉に勝機を取り戻す。 しかし、わからない。
(狙っている? 前衛のレオを無視して後衛の私を? どうやって……そんなの魔法でもない限り―――― )
次の瞬間、ドロシーは信じられない物を見た。
『ファイアボール』
その声はジェルの短詠唱。 魔力の流れが彼の掌に集中して火球を具現化させた。
「魔法の習得!? こんな短時間で? 魔導書でも手に入れたの」
自身に向けられた攻撃魔法にドロシーは水属性の魔法――――『アクアボール』
魔法に魔法をぶつけて相殺――――いや、魔法のぶつかり合いになれば、本職の魔法使いであるドロシーの方が強い。
押し勝った『アクアボール』は火球をかき消し、そのままジェルを狙う。
「また、私の魔法を切った!? 本当に『魔法切断』を使っている」
「落ち着けドロシー。遠距離からの魔法攻撃は効果が薄い。俺が奴の体力を削り切る。とどめに集中しろ!」
レオは盾を前に構えたまま、走り出した。
狙いは体当たり。 ジェルを吹き飛ばし、何度起き上がっても――――
「何度でも、何度でも吹っ飛ばし続けてやる!」
「凄い圧力だ。昔の俺だったら剣を捨てて逃げていただろう。だが――――」
向かい打つジェルは低い構え。 異常とも言える前傾姿勢。
左右への動きを捨て去り、前に進むのみに特化した構え。それは――――
『土龍激突』
レオの盾に向かって、突進技を繰り出した。
「くっ、俺の体が浮き上がっていく。力負け? ジェルに俺がだと!」
剣聖が繰り出す突進技 『土龍激突』
いかに本職の前衛、レオ・ライオンハートとは言え、力勝負で敵うはずはなかった。
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