第24話 レオ&ドロシーとの戦闘

 (堂に入ってる)


 レオとドロシーの構えを見たジェルは、そんな感想を抱いた。

 

 長年、魔物相手に戦ってきた仲間ならではの立ち位置。


 そんな2人にジェルは1人で立ち向かう。

 

 後方からは、


「おいおい! 本当に私が手伝いはいらないのかよ」とシズク。


「大丈夫だよ」とジェルは、声を小さくして────


「もし、ここでシズクが戦って正体がバレるのが1番まずい。冒険者になるどころか生きて帰れないぞ」


「ん~ そりゃ確かにまずいわ」とシズクは、あっさりと引き下がる。


 そんな両者のやり取りを見ていたレオは、どう思ったのか?


「ずいぶんと余裕だな。俺たち2人を相手にして」


「余裕? そんなものはないよ。実は今も恐怖で震えているのを隠してるだけさ」


「ふん、減らず口を……そう言えば聞いていなかったな。お前の自信の源はなんだ?」


「────」


「急に黙るなよ。何か秘密があるってバレちまってるぜ?」


「それを答える必要はない」


「そうかい。まぁ迷宮じゃ何があっても不思議はないからな。それじゃ勝手に考えるわ」


 レオは「ん~」と暫く考え込むように頭を振ると


「なんか、とんでもない魔物と契約したか?」


「何を言ってる?」


「違うか。それじゃ、魔法……魔法陣を踏んだ。違う。武器……おっ! 少し視線が泳いだ」


「────」


「今さら沈黙に撤しても遅いぞ、ズバリ言い当てると────


 古代摩道具を見つけたな」


「───ッ!?」


「へぇ、その反応。ハッタリついでにカマをかけてみたが、正解だったみたいだな」


「試してみればいいさ。本当に正解かどうか」


「無論」とレオは、ジリジリと前に進み始める。


 レオは前衛。 


 盾を駆使しては、自身の倍以上ある魔物の突進から仲間を守る。


 今も自慢の盾を前に出し、引いた腕で剣をチラつかせる構え。 


 対してジェルはレオを称賛していた。


(……流石はB級冒険者。対人戦闘での心理戦に精通している。しかし……どこまで本気か?)


「いや、ダメだ」とジェルは頭を振った。


 戦えを前に集中力が欠けていく。それがレオの狙いと分かっていても、抗えきれない。


「どうした? 考え事は、もう良いのか? 昼飯で悩んでいるならいい店を紹介するぜ!」


 レオは軽口を言うも、確実に間合いを詰て――――攻撃に転じる。


「――――っ!(いきなり刺突からか。しかし剣の攻撃なら剣聖の技で無効化できる)」


 抜刀。 


 ジェルは剣を抜くと同時に攻撃を弾く。 だが、レオの攻撃は剣だけではなかった。 


 盾を持った腕での打撃。強烈な左ストレートだ。


 加えてレオが持つのは鋼鉄の盾、その薄く鋭利なヘリがジェルの顔面に向かう。


 剣ほどでもないにしろ確かな切れ味を有している。当たれば――――


 しかし、ジェルは瞬時に反応。 人間離れした身体能力で後方へ飛ぶ。


 レオの攻撃は外れる。だが、それを想定していた者もいた。 

 

「速い!? でも、その程度の速度なら――――ファイアボール」


 後衛に備えていた魔法使いドロシーが、攻撃魔法を執行したのだ。  

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