第15話 一方、レオたちは
鉄と鉄が叩き合う音。
それらに混じって、小さくも確かに聞こえる軋む音。
(確かに嘘は言ってないのだろう。このまま長引けば、私の魔剣は砕け散る)
古代魔道具を使い、限られた条件でのみ入手できる魔剣。
替えはない。
もしかしたら、修理できる鍛冶屋はいるかもしれないが……ゴブリンであるシズクは接触する事すら困難。
「参った、降参だ。攻撃を止めてくれ」
ジェルは攻撃の手を止めた。
おそらく連撃中は無呼吸運動だったのだろう。
深く呼吸を繰り返し、
ようやく「そうか」と呟き構えを解く。それから────
「どうして俺たちは戦い始めたのだったか?」
その様子に堪えきれずにシズクは笑う。
「お前、戦っている時は
「そうか? そんな事、初めて言われた」
「わるい、わるい。お前の事を試したわ。気に入った! 仲間にならないか?」
「仲間? ゴブリンの仲間か……?」
「いやいや、お前だって興味あるだろ? この古代魔道具についてよぉ」
「それは……もちろんある。コレがなかったら、俺はここで死んでいた。お前等に殺されていただろう」
「あ~ そりゃすまん、すまん。うっかり殺す所だったわ。それは水に流してくれ」
「――――大丈夫だ。すっかり、殺意はなくなったよ」
それからジェルは、こう続けた。
「それで? お前の仲間になって何をするんだ? 古代魔道具を探すのか?」
「いや、そうじゃない。ゴブリンを使って古代魔道具を探索するのにも限界を感じていた。私をお前たちと同じ――――冒険者になる方法を教えてほしい」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
――――町――冒険者ギルド――――
冒険者ギルドに隣接している酒場に浴びるように酒を飲んでいる男がいた。
その男に仲間らしき女性が近づいた。
「まだ飲んでいるのかい、レオ?」
男の名前はレオ・ライオンハート。
ジェル・クロウを迷宮で囮に使うため、置き去りにした仲間たちの頭目だ。
「あん? 誰だお前……なんだ、ドロシーか? 見つかったか、アイツの代わり」
「いや」と魔法使いのドロシーは短く首を振った。
「経験豊かな斥候って条件だと、希望の集まりが良くないよ。私たちB級冒険者に実力に見合うレベルは……」
「チッ! ここらの冒険者は度胸ねぇな。いきなりB級冒険者の仲間入りの機会だぜ? 普通、捨てるかよ」
「こ、声が大きいよ。他にも、いろんな冒険者たちがいるんだから、聞こえちゃうよ」
「聞かせてんだよ、雑魚どもに!」
「どうしちゃったんだよ? レオ、そんなに荒れて」
そんな2人の間に
「フン」と割って入って来たのは仲間の剣士であるシオンだった。
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