第12話 赤目のゴブリン
「赤目……まさかっ!?」
「そんなに驚かなくてもいいだろ? そうだよ私がゴブリンの軍勢を指揮していた総大将ってやつさ」
ジェルは、相手の言う事が信じられなかった。
確かに――――
それが今回の依頼であり、迷宮で1人見捨てられた原因であるのだが……
「とても、信じられない。だって、君は……どこをどう見たって――――」
「ゴブリンさ。私は、醜い小鬼の怪物さ」
「――――っ!(とても、とても、そうは見えない)」
ジェルがそう思うのも無理はない。
赤目のゴブリン。その顔は、人間だった――――いや、顔だけではない。体も……
それも女性。 美少女と言っても良い。
(人間と乖離しているのは、赤い目くらいだろうか?)
すると彼女は「シャイニング」と魔法で明かりを灯した。
「こうするとわかりやすいだろう? 私が正真正銘のゴブリンだってことが」
魔法の光源に照らされた彼女の姿。それを見たジェルは――――
「……」と無言になる。
(確かに、普通の人間よりも若干、緑色に近い皮膚。 尖がった耳……なにより、赤く光る眼をした人間なんているはずもない。……いるはずもないのだけれど……)
困惑するジェルの様子が面白かったらしい。赤目のゴブリンはクスっと笑う。
「そんなに驚いたり、不思議がることもないだろ? お前だって、体験したはずさ……あの不思議な古代魔道具を」
「つまり、君も?」
「あぁ」と赤目のゴブリンは地図を見せた。
それはジェルも最初に購入した地図だ。 この古代魔道具
「そうか……知識増加を購入したのか? けど、その姿は?」
「ここでは『剣聖ガチャ』が販売されているだろ? 私が購入したのは別の場所であった『魔族ガチャ』だ」
「ま、魔族ガチャ……なんだそれ?」
ジェルは首を捻る。なんせ――――
魔族なんて言葉は初めて聞いたからだ
「さてね? 私も魔族が何か知らないさ。でも、結果はここにある」
赤目のゴブリンは、両手を広げると姿を見せるように、その場でグルグルと回ってみせた。
「それで……俺を殺しに来たのか?」
「う~ん。それはどうして、そう思うかな?」
「どうしてだって? それはお前等が攻撃を――――」
「いや」とジェルは途中で言葉を止めた。
自分たちの方だ。 自分たちがゴブリンの縄張りに入った。そして、その目的は――――
「君たちは私を捕まえに来たんでしょ? ただ、珍しいからってだけで」
「――――そうか。それじゃ言い返せないや。君が正しい……けど」
そう言いながら、ジェルは新しい武器、腰に帯びた二本の刀に手を伸ばした。
「俺が悪いかもしれないが、それで命をくれてやるわけにはいかないだろ?」
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