第9話 剣聖ガチャ
『剣聖ガチャ』
俺は画面に表示された『開始』を押した。
青い10個の球体が回転を始めて――――止まった。
画面に表示された見たこともない素材や武器の名前。
それと同じ物が、自動販売機――――ジハンくんの取口から落下した。
「これだけでも貴重な素材や高価な武器に見えるけど……ハズレ扱いなのか」
『1回300Gで10個のアイテムがランダムで購入できます。その内1%の確率で大当たり 剣聖セットが購入できます』
「剣聖セットってのはなんだ?」
『はい、かつての英雄である剣聖。その技を習得できる奥義書3冊と剣聖の武器 名刀コテツ 妖刀ムラマサとなります』
「剣聖の技が習得? それはあれか? 魔法みたいに簡単に使えるようになるって事かい?」
『はい、その通りです。貴方がそれを手に入れる事が出来たら、剣聖と同等の存在になるでしょう』
「――――」とジェルは絶句する。
剣聖。 かつての仲間だったシオンが目指していた称号だ。
「あの強さでも到達できず、彼女は毎日の鍛錬を積んでいた。良いのか? 俺が簡単に剣聖に――――いや」
ジェルは首を横に振る。
「知った事か! 俺はレオたちを見返すためなら、どんな事でもやってやる!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
ジェルは10回連続ガチャを10回――――つまり、100回の購入を越えていた。
「これで、3000Gか。 結構な金額だが感覚が麻痺しているみたいだ」
「……まぁ」とジェルは周囲を見渡した。
地面に無造作に転がっているアイテムたち。
『赤龍の鱗』
『暗殺者のナイフ』
『雲の元』
『雷撃上昇の魔導書』etc...etc...
「雷撃上昇の魔導書とか、なんだそりゃ? 読むと雷系の魔法効果が上昇するのか? ……たぶん、本当に上昇するんだろうなぁ」
そういう部類が100個は転がっているんだ。ジェルには、異常な光景に思えたが
「ここで引き下がれないさ。まだ、金の貯蔵は十分ある!」
『剣聖ガチャ』の開始を押した。
すると――――
「え? なんだこれ。初めて見る」
画面の球体が虹色に点滅して回転を始める。
虹色は画面からはみ出し、古代魔道具全体を光らせ、ついにはジェルの体まで――――
そして、表示された画面は――――
『おめでとうございます! 剣聖 GETだぁ!』
地面には黄金に輝く刀が二本。
奥義書なのだろう。本が3冊落下してきた。
「これが『剣聖セット』……本当にこれだけで剣聖に成れるのか?」
暫くすると刀と奥義書から輝きが無くなった。
それを手にするとジェルに異変が起きた。
頭に知識が流れ込んできたのだ。 それは剣聖の技術だ。
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