第8話 自動販売機の商品は?
ジェルは壁に向かって掌を向ける。
イメージするのは、仲間の――――いや、かつて仲間だった魔法使い ドロシーが使用していた魔法。
「ファイアボール!」
超短詠唱を口にする。体から、未知の力『魔力』が動き出しているのが意識できる。
イメージ通り、手の掌に火球が出現して――――壁に高速で飛翔していった。
「――――っできた! 本当に俺でも魔法が!」
初めて魔法を使った。 その感動がジェルの全身を包む。
「し、信じられない。こんなにも簡単に、こんなにも低金額で!」
魔力増加。その値段は、100G程度。 ファイアボールも同じ金額で購入できた。
100G……1回の食事程度の金額。
(怖い。人間が触れてはならない禁忌なのではないか? ――――でも俺は強くなりたい!)
ジェルは冷静に画面を見つめる。
「他には、どんな……どんな商品が購入できる? 一番の高額は?」
画面に表示された最高額の商品
『勇者の聖剣』 1000万G
『魔王の魔剣』 1000万G
『聖女の杖』 800万G
『大賢者の杖』 800万G
「勇者? 魔王? なんだこりゃ? 名前からして武器なんだろうけど……」
流石にレオから渡された金額は1000万Gもない。
せいぜい50万Gを少し越えるくらいだ。
「なるほど、なるほど……」と夢中になって画面を見ていくジェル。
「少しずつ分かってきたぞ」
『魔力増加』のような商品は他にもあった。
『体力増加』
『知力増加』
こういう増加系は、購入すればするほど効果が増していく。
だから『魔力増加』をさらに10回購入した。
これで1000G。
たぶん、1000Gで一流の魔法使いと同等の魔力になっている。
『下級魔法』ではファイアボールみたいに、魔法使いが最初に習得する魔法が購入できるみたいだ。
『中級魔法』になると、見た事もない魔法がいくつかあった。
仲間だったドロシーも使ってなかった魔法……いや、おそらく使う事すらできなかったのだろう。
『上級魔法』は……まるで冗談のようだった。
「神話の物語で見た名前の魔法が幾つかあるのだけど……」
次は武器の欄だ。
「ここら辺はよくわからないなぁ。魔法使いの杖みたいに炎系魔法を強化する杖とかならわかりやすいけど、妖刀とか、魔剣、聖剣って言われてもイメージできない」
そして、最後の欄はもっと意味がわからない項目だった。
「なぁ……えっと、古代魔道具。お前の事をなんて呼んだら良いんだ?」
『どうぞ、ご自由におよびください。お迷いならばジハンくんと気楽にお呼びください』
「じゃ、ジハンくん」
「はい、いかがなさいましたか?」
「この最後の項目なんだが……なんだ、これは?」
「はい、こちらは『剣聖ガチャ』になっています」
「剣聖ガチャ?」とジェルは繰り返した。
それが何なのか? イメージする事も難しかったのだ。
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