第19話 シャルロット危機一髪!
「いやー!やめて!」
シャルロットに覆い被さるアレックスがすることとすれば決まっている、手篭めにして自分の女にしようとしている。
「諦めろ、俺みたいな男に抱かれるなら悪くないだろ?」
「ふざけないで!初めてがあんたみたいな下衆とか嫌!」
しかし、力では男のアレックスには適わないシャルロットは抵抗はするがどうにか出来る状況ではなかった。それでもシャルロットは力の限り抵抗する。
「ハハハ!シャルロットは初めてなのか!なら美味し…………」
ブンっ
突如目の前に現れた男に顔を蹴られ、何ともしれない力に壁に押し付けられたアレックス。そしてその男が……
「驚いたな、いきなり襲うとは思わなかったからちょっと遅れちまった」
現れたのはゴローだ。
「な!お前!生きてたのか!」
壁に大の字に張り付けのような状態で身動き出来ないアレックス。
「お前の存在はずっとわかってたよ、シャルロットすまん」
「ゴロー!」
シャルロットはゴローの胸に抱きつき涙を流していた、怖かったのだろう初めてを奪われると思っていたのか。
「ごめんねシャルロット、言っておいてもよかったかな」
シャルロットは何も言わずにゴローに力強く抱きつくだけだった。
「くそ!なんで動けないんだ!」
アレックスはなんとかしようと悶えていたがピクリとも動けない。
「無駄だよ」
ゴローの口調は酷く冷たかった。
「お前は一体何者なんだ!あの魔物の軍勢を退けたのはやっぱりお前なのか!」
「そうだよ、超能力って言ってわかるかな?魔法とは違う未知の能力だよ」
「魔法以外の能力?お前魔族なのか!」
「まあそんなのは今はどうでもいい、まずはお前の罪を裁くのが先だ」
ゴローは抱きつきシャルロットの肩を持って語り出す。
「シャルロット、こいつをどうしたい?」
泣き顔で目を腫らしたシャルロットがゴローの目を見つめながら。
「殺してやりたい…………」
アレックスの顔が青くなり必死に許しを乞う口調へと変わる。
「あ、あのシャルロット、俺はお前が好きなんだ、だからこんな真似をしてしまったんだ」
「ふざけないで!わたしがどれだけ怖かったか!こんなにも酷い男だと思わなかったわ!」
「じゃあ死んでもらうか?」
アレックスの脳に直接手が触れる感触が。
「ぐああああああ!ぐううううううああああああ!や!やめてくれえてええええ!」
今まで感じたことのない痛みがアレックスを襲う、口を大きく開けて泡を吹く勢いだ。
「この痛みを2週間続けた後に殺してあげるよ」
「ああああああ!嫌だあああ!それならいっそ殺してくれえええええ!痛いいいいいいいいいいい!」
アレックス瞳孔を開きながら大きく口を開けて叫び狂う1歩手前のような感じだ、この世の痛みの最たるものなのだろう。
「舌も噛ませないよ、身動きも取れずに痛みだけが2週間続くんだ、正気を保てるかな?」
冷たい口調でゴローは冷徹さをアピールする、心を折れさせるためだ。シャルロットもそれを感じたようで。
「そうね、アレックスには狂ってもらってから死んでもらおうかしら」
「わ!悪かったからあああああ!こんな痛みが2週間も続くとか無理だああああ!や!やめてくれええええ!アグああああああああぁぁぁ!」
ゴローはカタカタと小刻みに震えるシャルロットを強く抱きしめ安心させようとするとそれに応えるシャルロット、完全に恋に落ちたのが自分でも分かっていた。
「諦めなアレックス、力でねじ伏せようとしただろ?それ以上の力にねじ伏せられても仕方ないよお前がやろうとしたことなんだから」
ゴローもシャルロットも殺すことまでは考えてはいなかったがそのまま帰しては気が済まない、ここぞとばかりに意趣返しを敢行する。
「や!やめてくれぇぇえええ!頭の中を掴まないでくれえええええええ!ぐううううううああああああ!」
そして泡を吹いて気を失ってしまったアレックス、シャルロットは死んでしまったのかと心配するが。
「ね、ねえ殺しちゃったの?」
「いや、死んでないよ気を失っただけだよ。脳みそをグニグニいじっただけだから」
「脳みそ?ゴローは体の中身を知っているの?」
「そうだね、この世界だと人間の構造は知らないか」
この世界では回復、治癒魔法があるので人体の構造を知ろうという者が余りいないようだ。医学というものもほとんどない、せいぜい薬草を傷口に貼るというくらいで漢方というものもあまり知れていない。
「これくらいで気が済んだ?本当に村に連れていって痛みつけてもいいけど?」
「ううん、ありがとうゴロー。今まで同じ仲間だったし殺すまではいいわ」
「これどうしようか、これ」
床にうつ伏せで倒れているアレックスを指差すゴローに対し。
「2度と顔も見たくないから別の街に置いてこれない?」
「いいよ、じゃあ北の最前線に置いてくる」
ゴローがアレックスの腕を掴んで消えたかと思うと、その1分後にゴローが現れる。
「とりあえず置いてきた、まあ王都にまた来ようとは思わないでしょ」
「うん、ゴローありがとう」
「ごめんね、勢い襲うとは思わなかったんだ」
「いいの、ゴローは私のこと気にしてくれてたんでしょ?それが嬉しいの」
シャルロットはまたもゴローに抱きつき顔を見上げ潤んだ瞳でゴローを見つめる。勘のいい男ならそのままベッドインになるのだろうが、ゴローにそんな器量はない!
「じゃあ村に行こうか」
「もう!ゴローのバカ!」
そう言いながらもシャルロットはゴローを強く抱きしめる。
まあ実際女性のサインを見逃す男ってのは典型的なダメ男で童貞が多い、誘うのが礼儀だとわかってない。
誘われる女性もそれで自信がつくわけで、そこまでして何もないほうが落ち込む原因にもなりその原因を作った男と距離を置こうと思ってしまうから話しかけても無視されたりもする。これは作り話だからそうはならないけど。
そして要塞と化した村に2人で向かうことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます