第11話 奴隷商ダンプ

 奴隷たちを解放した時に奴隷商の主も攫ってきた。思う存分奴隷の気分を味わってもらおう。

 まずは奴隷の調達先、調達方法、購入者、この3つを聞くことにする。


「さあダンプさん色々聞きたいことがあるんですよ、どこで、誰を使って、誰に売ってるか?簡潔にお願いしますよ」


「ふん!下民風情が生意気な、私は貴族にも顔がきくのだぞ、それをこんな誘拐などしおって」


「誘拐はあなた達の得意技でしょ、安心して下さい私にはこの能力がありますので、転移」


 シュン!


「あ、あれ?消えた」


「こっちですよ、もう1回見てて下さい、転移」


 シュン!


「ぬう!お前転移魔法を使えるのか!」


「その通り、よくおわかりで」


「お前魔族か!」


「やっぱり魔族しか飛べないのか、まあどっちでもいいよ」


「それより誰を使って亜人狩りしてるんだ?集落をどうしてみつけられる?」


「ふん!教えるわけなかろう!」


「まあ、そうだよね素直に言うわけないよね、じゃあ拷問開始するね」


「あ?拷問だと?何を…………ぐわあああああ!ぐぶ!おごごごごごご!」


 脳みそを直接触ってやった、サイコキネシスで。くも膜下出血の時は相当痛いらしいから、それと同じ痛みを味わっているのだろう。


「ふぐうううううう!やややややめてくれえええええ!あああ!」


「言う気になった?」


「ハァハァハァハァ」


「もう1回やろっか」


「ま、ままま待ってくれ!言う!言うから!」


「ギルドだ!ギルドで雇うんだ!」


「は?冒険者雇ってんの?受ける冒険者がいるんだ」


「そうだ、日当てと別に成果報酬もあるからすぐに埋まる」


「酷いな、ギルドも知ってて冒険者には人気のクエストか」


「も、もう言ったぞ、離してくれ」


「買う人間は貴族かい?」


「貴族がほとんどだが商人でも冒険者でも買う、男はポーターとして使えるし女は夜のおもちゃだ」


「よく平然とやるよね、酷いと思わないの?」


「能力の低い者に仕事を与えてるんだ、恨まれる筋合いはない」


「無理矢理連れて来て?与えてやってる?神にでもなったつもりなのかね人間は」


「人間こそこの世界の頂点だ、その権利がある」


「俺が神だったら真っ先に人間滅ぼすけどね」


「神は私たちの味方だ!」


「見たこともないくせに、だってさみんな」


 ゾロゾロと物陰から聞いていた亜人たちが現れると。


「ふざけるな!何が仕事を与えてやってるだ!父親を殺して無理矢理連れて来て!」


 ワーワーギャーギャー


「く!おい!全部話したぞ離せ!」


「え?離すなんて一言も言ってないけど、死ぬんだよこの人たちに殺されて、そうやってきたでしょ?」


「な!ふざけるな!それなら話さなかっただろ!汚いぞ!」


「はいはい、汚い汚い、私は汚くて悪い人間だからあんたを殺してもおかしくないよね」


「い、いや、違う、汚くないから助けてくれ……お願いだ、私はまだ死にたくない」


「そりゃ無理だよ、自分は殺しといて殺されたくないなんて理屈通らないよ。殺すなら殺されても仕方ないんだよ」


「そ、そんな…………」


「じゃあ、みんな恨みを晴らしていいよ」


 うおおおお!死ね!死ね!死ね

 コロセ!コロセ!コロセ!


 ザクザク!グサッ!ズバ!グチャ!


「ぎゃあああ!や、やめ!助け……!がは!ぐ………………………………」


 亜人たちの中心に元は人間だったのかわからない肉片が散らばっていた。その周りを泣いている者、血まみれのナイフを握りしめて立ち尽くす者、色々な感情を顔に表していた。


「少しは気が晴れたか?」


 ゴローがそう言うと全員片膝をつき。


「ありがとうございますゴロー様、私たちはあなたについていきます!」


 こんなに人に慕われたことなどないゴローは訳の分からないことしか言えなかった。


「う、うんみんな仲良くやってね」


 そして、そのまま歓迎会に突入した。ミントを中心に色々動いてくれるので準備もスムーズに終わった。


「では皆さん色々苦労したかと思いますが、ここを発展させて亜人が安心して暮らせる場所にしていきましょう」


 ワーワーキャーキャー

 パチパチパチパチパチパチ


「じゃあ飲んで食べて!」


 ワイワイガヤガヤ


“ さて、亜人狩りにギルドや冒険者も絡んでいるとなるとこれは問題だね。貴族も買ってるんだし国ごと潰さないとだめかな?でも人間の勢力がなくなると魔族が喜ぶけど魔族ってのが何を考えているのかわからない”


 そんなことを考えているとジャスミンが走ってきた。


「ゴロー!大変だった?」


「ん?大丈夫だよ、ジャスミンちゃんも友達増えるから寂しくなくなるよ」


「うん!お外で駆けっこして遊ぶ!」


「遠くに行っちゃダメだよ、魔物がいるからね」


「はーい!」


“ 女性が多いから防衛がきついかな、そのうち人間たちにもここを発見されるだろうし黙って見過ごすはずもない。岩を切り出して城壁都市にしよ”


 この日、解放された喜びを噛み締めるように夜遅くまで騒ぐ亜人たちだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る