第9話 新天地
あれから1週間が過ぎた。
ジャスミンも懐いてくれたようで今も膝に乗り自作のけん玉で遊んでいる。
「よっ!あーん、1回しかできない」
しかし、子供ってこんなに可愛いものだとは思わなかった。もちろんロリ好きという意味ではなく純粋な気持ちで。
“ いつまでも人間の街にいるのは限界があるよな、違う土地を開拓するぞ!”
ゴローは連日魔石や素材を換金しかなりの金額を稼いでいた。当然そんなことをしていれば目立つし怪しまれる、そんな状況も限界だと感じていた。
「ミントさんは自活出来るんだよね?」
「はい、むしろ街での過ごし方のほうがわかりませんし」
「それなら安心だ、その内街を出て森で生活するようになるから」
ゴローはちょこちょこ離れた森を切り開きアパートのような物を建てていた。
山小屋のような丸太を積み上げた大きめの家だ。超能力を使い切断するイメージで板状の木材も作れるようになったので細かい所まで作り込める。サイコキネシスで力仕事は皆無に等しいので順調そのものだ。
商店を訪れ大量に必要な物を購入し。
「これとこれ、これも下さい」
「は、はい、大丈夫ですか?こんな持っていけますか?」
「とりあえず買った物は裏庭に置いておいて下さい、後で取りに来るんで」
そして人の目がないのを確認して。
「転移!」
シュン!
転移もわかったことがあった。全てはイメージであり1度行った場所をイメージすれば転移できる、ぶっちゃけ写真があっても行けるがこの世界ではそれは無理だろう。忘れてしまった場合は行けない。
とりあえず屋根が出来上がったことで荷物を運ぶ、自活に必要な物はミントにも聞いて一通り買った。クワやシャベルといった道具はもちろんのこと、種や種芋、鍋やフライパンもろもろの調理道具他にも大量にある。
“ 肉は俺が調達してくるし、葉物はミントがわかるらしいから野菜が育つまではなんとかなるだろう、冬までになんとか形にしないと”
この時の季節は夏に差しかかるくらいの気候だ。こちらも四季があるらしいので日本にいた時と同じ感覚でいいだろう。
夕方になり宿屋に戻るとミントとジャスミンが出迎えてくれた。
「おかえりなさいゴローさん」
「おかえりゴローさん!」
“ 子供にさんづけされると変な気分だな”
「ジャスミンちゃんはゴローでいいよ、さんづけはなんかおかしい」
「ふーん、わかった!ゴロー!」
「うんうん、その方が親近感があっていい」
食事も普通に家族のようだ、ゴローはこの時に幸福感に包まれる。
「そろそろこの街を出て生活しようと思ってるんだけど、大丈夫?」
「はい、ゴローさんが働いてる中毎日この部屋にいるのも居心地が悪かったですし」
「明日もうちょっと家の方に手を加えたいから明後日行こう」
「はい、わかりました」
ジャスミンも
「お外出れる?」
「ごめんね今まで、明後日からお外でいっぱい遊べるからね」
「やったー!いっぱい走りたい!」
そして当日の朝、早速開拓地へ向かう3人。
転移のことは知られたくないので徒歩だが、森に入った所でしばし目を瞑ってもらい転移で移動する。王都からは馬車でも2日はかかる距離の人が滅多に入らないような森の奥だ。魔物などの危険もあるが、事前に探知を使いほとんどを狩り尽くしていた。これから来る魔物はゴローがいれば探知出来る。
「さあ、今日からここが家だ!何か必要な物があったらなんでも言ってね」
「大きな家ですね、素敵ですゴローさん」
「畑も耕してあるし種も種芋もあるからミントさんお願いしていい?」
「はい!お任せ下さい!さあジャスミンも手伝って」
「はーい!」
ゴローは家の内装や微調整、ミント親子は終日畑仕事に従事してもらった。
“ 柵とかも作らないと留守の時危ないよなあ、まあ当分出かける用事はないけど”
ここは下水も完備だ!土木工事をして地中を掘り起こし岩をくり抜いた筒状の物を埋設してある。川に流れ込む仕様で下流には王都があるが知ったことではない。
上水は井戸を掘り滑車を取り付けてあるが、そのうちポンプも作る予定だ。
“ とにかく家を作りまくる!そして奴隷が連れ去られて来たというなら俺が同じく連れ去ってやる、見てろよ奴隷商どもめ”
それから1ヶ月後に最初の奴隷商と奴隷全員が忽然と消えるという事件が王都で起こった。
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