第2章 スローライフの第一歩
第7話 王都バルカン
五郎はバルカン王国の王都に来ていた。
“ さすが王都、人が多い。ここなら目立つこともないだろう”
最初は人の少ない所に行こうと思ったが、村は人が少ない分何かあれば目立ちやすい、森などで完全に人社会から離れても良かったが、農作業のノウハウもないし道具もない。
結局人混みに紛れたほうが目立たないだろうということで王都まで来たのだ。
そして、来る途中考えついたのはアパート経営などをして家賃収入を得れば人とほとんど接することなく生活を送れるということだ。
“やっぱり不動産でしょ、土地の売買なんかも出来ればなぁ”
チーん!
早速詰んだ。
土地は王国のもの、そして管轄する貴族のものであり一般庶民が土地を持つことなどありえないと言うことだ。
“ そうかあ、貴族ねぇ………………無理だな”
とりあえずギルドで冒険者カードを新たに発行してもらうことに、死んだことになってるし。
鑑定の結果レベルが47まで一気に跳ね上がっていた、デーモンや魔物を倒した経験値がかなりあったようだ。
「このレベルで新規ですか?以前は何をされていたので?」
受付の女性には
「遠くの村の衛兵みたいなことをしてました、魔物が頻繁に襲ってきていたので」
ウソだがすんなり納得してくれたようだ、田舎者が1発当てに王都まで来るというのはよくあることなのだろう。
名前も以前と同じではまずいので五郎改めゴローとした。
無事冒険者カードも手に入れ早速クエストを受けようとするがかなり少ないことがわかった。
薬草採取などはなく、街の掃除やら修繕やら低ランクの仕事はそれくらいしかない。
“ うーん、あんまり人と関わりたくないんだけどなあ”
ふと横を見ると素材を鑑定している受付の女性が目に入る。紫色の石のような者を天秤にかけ重さを計っているようだ。
“ クエストじゃなくても高ランクの魔物から素材を採取すればかなり儲かるのでは?クエストにこだわってたら時間かかるし”
そう考えた五郎は早速地図を購入し、稼げるような場所を受付に聞いて向かうことにした。
地図が高く手持ちがほとんどなくなったので休んでる暇はない。
「転移」
向かった場所は危険と言われている西の大森林。とにかく狩りまくる、何の魔物だがわからないし強いのか弱いのかもわからないが超能力で魔物を最小限の力で倒していく。始めは心臓を破壊していたがもっと効率よくするために脳幹を切断する。強い魔物などは心臓を破壊しても即座に動きが止まることはなく最後の一撃を加えようとしてきていたため。だが脳幹は原始脳と言われるどの生き物にも共通する脳や心臓を司る器官、それを破壊するとその場で絶命する。
「これなら素材を傷つけずに回収できるし高価買取してかくれるでしょ、ただ全部持って帰るのはどうなんだろう」
超能力を使えば持ち運べるが、宙にプカプカと浮かせた大量の魔物を見られたら目立つことこの上ない。魔石と少量の素材を回収して帰ることにした、王都を出てから3時間の出来事だ。
王都へ戻り受付カウンターで鑑定してもらうと。
「これはあなたが回収したものなんですか?」
「そうですけど、何か問題あります?」
「いえ、問題というかこの大きさの魔石となるとパーティーでも手を焼くレベルですので」
「あ、えと、俺は代表で持って来たのでソロじゃないですよ」
「あら、よほど信用されているんですね」
“ なるほど、金額が金額だとトンズラする輩もいるのか。あまり派手に換金するのも考えものか”
「それではこちらが今回の買取額ですが、納得していただければこちらにサインを」
「こ、これは!金貨2枚?」
現代価格で200万だ、たった1日、実質4時間ほどでこの稼ぎに驚いた。しかも、素材をほとんど回収していないまま放置してある魔物もある。運搬方法さえなんとかなればもっと稼げると考えた五郎はその金を持ってその方法が何かないかと商店へ向かった。
“ こんな大金持ち歩くなんて初めてだ!時給換算で50万とか異世界最高だ!”
浮かれスキップで商店へ向かう途中。
「そこの方、奴隷はいかがかね?」
「え?奴隷?」
“ やっぱり奴隷制度ってあるんだな、なんでこんな外道なもんが成り立ってるんだろうか、理解出来ないけど文明レベルが低いとそうなるのかね”
「見るだけでもいいの?」
「ええ、もちろんですとも、ささこちらへ」
そうして中へ案内されたが、この軽い気持ちで入ったことで後の行動が大きく変わるなど考えてもいなかったゴローだった。
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