第陸話『黒猫の惚れた歌声』

 2021年1月のとある日、先述紹介したふた丸が、聞いたことがない人の配信をTwitterでシェアしていた。


「ガチで歌が上手い人を見つけてしもーた、生声のポテンシャルが半端ない。通うわ。僕が聴きたかったのはこれなんだ・・・」


 彼が人の歌声をここまでめる事はまれである。これは聴き逃せまいと思い、僕もシェアからお邪魔した。既にシェアからやってきたリスナー、後からやってきたリスナー、次々に知っている仲間達が現れた。

 配信の背景に使っていた絵は、ディズニーに出てくるお姫様の様なものであった。そしてファン数は、当時まだ100人とちょっとだったと思う。正直な所、ふた丸、良く見つけたなあという事と、僕はディズニーアニメのチェックは疎く、ディズニーかあ・・・と思ったのだ。


 しかし彼女が歌い出した途端、僕の想いは全て消し飛んだ。頭の上まで突き抜けるよどみなき歌声。ここは劇場!?歌っている間、リスナーのコメントが停止する。これは、ながら聴きをしているのではなく、恐らく目を閉じて彼女の美声に酔いしれていたからに違いない。

 歌い終わると一斉に拍手のコメントが舞う。皆、心の底からの拍手をしていたに違いない。確かに機材もチューニングも不要な生声がそこにはあった。

 後から聞いた話で、劇団に所属し、舞台にも立っていた経歴もあった事が明らかになり、これは成程とうなづいたのであった。


 彼女こそ、どらちゃん回の『劇団もどき』の中で出てきた”も”のポジション。『もと』である。


 ディズニーキャラクターの中では、リトルマーメイドのアリエルが好きという事で、ならば得意なジャンルも割と清楚な歌になるのかなあと勝手に思っていたのだが、チューニングなしでボカロ曲『【まま音】レディメイド/ado歌ってみた』をCASTで上げると、途端にパワフルなボイスに驚かされた。

 さらに立て続けに『【最強編集】レディメイド/ado ふた丸』を上げる。もとの歌声にふた丸が自らやりたいと名乗りを上げて編集したバージョンだ。 パワフルボイスとふた丸の非凡さが融合して、とってもご機嫌なCASTに生まれ変わった。


 なんでこんな事がいとも簡単に成り立ったのか?ふた丸が彼女の歌声に惚れたというのは勿論なのだが、彼女の決して人に対してかどを立てない誰とでも仲良くなれる姿勢の賜物だと思う。

 

 そして同年秋、SPOONもリレー配信イベントの中でも、過去最高の参加数と2日間に渡った『君と笑う日』に参加。1時間で10曲を歌いきっただけでなく、コンサートでの歌手の様に楽しいMCを展開。

「常連さんの方!初めましての方!2階席のみなさーん!3階席のみなさーん!ステルス(配信に入室しないで聴くこと)で聴いてるみなさーん!?」

 初リレー、大イベント、1時間という制約があるのに、彼女は最後まで楽しくやり切って、その大物ぶりをアピール。沢山のバスターを貰い、初のLIVE配信1位を記録して、一気にもとの名をSPOON界隈にとどろかせた。


 2022年6月現在で彼女のファンは500を超えたが、今でも決して変わる事ない、フランクな姿勢が愛されキャラとして定着し、来る人をとても楽しい気持ちにさせてくれる。彼女のいい所だ。だからリスナーも自由に楽しむ事が出来る。

 楽しい配信で何しろ歌が上手すぎるので、この枠は俗に言う潜れない枠である。

 僕は最近ご覧の通り、物書きをしている時間が増えたので、なかなか彼女の配信に行けない。なのでこっそりアーカイブを聴かせて貰っているので、もとちゃーん、キャストはなるべく残しておくれよ。


 彼女の活動はソロに留まらず、『🎤🐴まねさん』とデュエットした『【まねもと】打上花火【UTAGE】』ふた丸のプロデュースで落涙するCASTに仕上がっている(ふた丸出すぎ、最早主人公!?)

 さらにこの2人に『ウルフ-Survive-』も組んだユニット『まねもとうるふ』では『【MMW】いのちの食べ方』ご機嫌なナンバーに仕上がってる。


 そして先述の通り劇団もどきの中では、”ビジュアルや色々やっちゃう?”ポジションで勿論、声劇でも大活躍。彼女の物語の盛り上がりはこれからだ。 


 ・・・・えっと、やっぱり弄り足りんのよ、どうしてくれる(?)よし!もう地雷だけ置いとこう(??)

 

「もとちゃん、なめ茸趣味は食べるだけにしとき。趣味:なめ茸作りは流石にしんどいわ」

 ではこれにて。ほっともっと!!

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