第肆話『粒餡と”超個性”』

 まず、最初に断っておこう。

 今回ご紹介するスプナー様は、またしても食べ物の名前である。本当に人間がなかなか出て来ない。SPOONを知らない読者様には、この配信アプリには、果して人がいるのか?!疑われても無理はないかもしれない。

 さらにこの方、今はほとんど配信をしない。じゃあ何故紹介をする?と言われそうだが、まあ多分面白いから聴いて頂きたい。


 彼女の名前は『どらやき』

 名前通りに和菓子と腸骨をこよなく愛し、あんは粒餡絶対派の筋金入りである。いつも通り『どらちゃん』と呼ぶ事にする。

 間違っても『ドラちゃん』って呼ばない様に。

「誰が青だぬきだッ!」

 って、彼女に怒られたい人はどうぞ。


 彼女を見つけたのは、弾き語りの配信中であった。

 当時の彼女のアイコンは、大きなどら焼きに挟まれている女性であった。その姿でまるでプカプカと浮かんでいる様に見えたので、僕はすかさずアイコンをタップすると、なんと2020年の当時で、既に5000人のファンを抱えたとんでもない方であった。

 これは面白そうな匂いしかしないぞ!と感じ、ファンポチした次第である。


 まずは自己紹介が笑う『20数年経ったカッピカピの和菓子』

 ・・・・うん、間違いなく腹を壊す。


 ファンになった当時の彼女は、ほぼ毎日配信をしていた。特に夜の配信は、実に軽快なBGM『それゆけワンダーランド/騒音のない世界』に声を載せて、元気な声が炸裂する。また大手配信者にありがちな、リスナーの数が大変多く、コメントも景気良く流れているので、僕の様なフリック出来ん輩は、コメントが追いつかない。

 一方でたまに休日の朝、早起き出来た時だけやっていた配信は、わりとスローテンポで、今にも眠りそうな声であった。


 しかし、朝でも夜でも変わらない事がある。それは彼女の大笑いと、リスナー達の滝の如く流れるwwwwwwwwwwwwである。

 僕の様にくれぐれも夕飯なんぞ食べながら聴くのは、心底お勧めしない。吹き出して大惨事確定である。リスナー全員、本気で笑っているだろって事が伝わってくる。


「のどにオッサンがおるわ」

 わかるっ!わかるけども!

「パンツを履いて配信する事を覚えました」

 パワーワードにも程があるんだよな・・。


 彼女自身も可笑しくたまらんのだが、リスナー達の超個性が集まって、枠主そっちのけで兵隊達が暴れ回るのだ。


 まずは彼女の大切な4姉妹『お菓子ず』ここから敬称略で失礼。どらちゃんをはじめ、セクシー癒しビーム『* 🌊ななみっさ』、正直配信よりほのぼのツイートに笑う『ʚ🍮ɞぷりん』、4姉妹の最年少で自転車で走りながら配信しちゃう『🍁椛❁』

 この4人がわちゃわちゃオンライン配信しているのを聴くと、絶対君ら同じ場所におるやろ!って突っ込みたくなる。

 しかしその幸せ空間に、野郎が良からぬ手を出そうものなら、多分スプーン界から消されるから悪い事は言わん、や・め・て・お・け。


 男性陣はCカップ命、マネージャーはやらないのに『🎤🐴まねさん』、リスナーになると嵐判定される『ふた丸』など個性派揃い。彼らも紹介文を書ける程なのだ。

 駄目だ、紹介してたらそれだけ終わる。辛い・・・。タイトルが拾えん・・困る。仕方がないのでとあるリスナーのコメントでしめておこう。


「どらちゃんのリスナーは、超特殊な訓練受けた、やべぇ兵士しかいない軍隊」


 毎日の様にせっせと配信をして、企画にも積極的に参加してファンを増やしてゆく姿は一見真面目なSPOON配信者。

 しかしどらちゃんが配信を始めた理由は実に不謹慎。

 当時の最推しがファン1万人で、コラボ枠しないのかという話題になったので思わず彼女ものっかって、

「どらやきも、ファンが1万ファンになったらコラボしてくれるかな~?」(作ったカワボ)

 と、いう話をしていたのに、その推しが突然SPOON辞めたいって言い出したので、

(どらやきがSPOONにいる意味なくすーっ!ムリーッ!病む~、メンタル終了のお知らせ~無理無理無理ぃ~)

「お前、ファン1万行ったらコラボさせてくれるって言ったやんけ!」

 と、推しに直談判し『1万ファンの呪い』を達成させようとする下心全開!の為に配信をしていたのである。

 これぞの鏡と言っておこう。


 さて、こんなどらちゃんだが、最近は企画以外には自分だけの配信はせずに裏方に回る楽しみを覚えている。配信止めたからSPOON頻度ひんどが落ちた訳ではなく、むしろさらに沼にハマっている。

 それが『劇団もどき』という『クオリティを保証する声劇をコンスタントにお届け』する本格声劇をするグループの脚本担当という新しいポジションで頑張っている。

 何を隠そう第零話でも少し触れた、自分の執筆活動への意欲を取り戻してくれたのは、この彼女の台本による所が大きいのだ。劇団もどきについては、近いうちにこの匙な人味で紹介する事を僕もしよう。

 さて、随分と長くなってしまったが、尺が長くなり過ぎたので今回はこれにて。

 おつどら!


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