第70話 完成

聖なる剣の飼育を初めて約2週間。

遂に彼女達のレベル上げが完了する。

完全に計算通りだ。


200に上がった所で、早速彼女達には199階層にいるエリアボス――ドラゴン討伐に挑戦して貰う。


その際俺は攻撃に参加せず、ドラゴンの直ぐ傍で攻撃を捌くだけに終始する。

万一彼女達がローリングテールを防ぎそこなった場合の保険だ。


戦闘方法としては、アイシス、アイリンさん、パラポネさんにドラゴンの気を引きながら正面で戦闘して貰う。


盗賊のヘスさんと狩人のエレンさんは、弓を使ってドラゴンの頭部――目や、開いた口への攻撃を。

彼女達はダメージディーラーとしては少々弱いので、相手の動きへの牽制をメインにして貰う感じだ。


魔法使いのミスティさんには、後方からの攻撃魔法に集中して貰う。

ドラゴンは取り巻きがおらず、正面にアイリンさん達がいる限りターゲットがそちらに向かう事はない。


きゅにゅ……僧侶のミーアさんは、少し下がった位置で正面で戦う味方の回復担当だ。

彼女にも光属性の攻撃魔法はあるが、初回なので今回は無しで行く。


……順調だな。


レベル200の7人パーティーなので、ミスさえしなければ負ける要素はない。

エリアボス戦は、順調に進んで行く。


そして――


「ヴオウゥ!!」


大技の予告。

ドラゴンの全身から、オーラの様な物が立ち上がる。


「アイシス!パラポネさん!」


「おうよ!」


「分かってる!」


アイリンさんが盾を構える。

そしてその背後に、アイシスとパラボネさんが素早く回り込んだ。


何をするのかって言うと――


「くぅっ!」


ドラゴンのローリングテール。

その太い尻尾の一撃を、アイリンさんが手にした盾で受け止める。

だが、彼女単体の力でその攻撃を止める事は出来ない。


その体が吹き飛ばされそうになるが――


「ふん!」


「はぁっ!」


アイシスとパラボネさんが肩と背中に手を当て、全力でその体を支える。

1人のパワーでダメなら、3人分で押さえればいいのだ。


とは言え、それでも僅かに足りない。


その分は――


「ホーリーバッシュ!」


スキルで埋めればいい。

アイリンさんがノックバックスキルを発動させる。


「やった!」


「よし!」


3人のパワーに加え、スキルの効果でドラゴンの尻尾が弾かれた。

これで次のブレスはこない。

勝ち確の瞬間である。


しかし、見事に上手くいったな。

ゲームだと背後から支えるなんて真似は出来ないので、これはリアル特有の戦法と言えるだろう。


「油断するにはまだ早いわ!気を引き締めて行きましょう!」


成功に沸くメンバーに、アイリンさんが檄を飛ばす。

流石に優秀なリーダーだけあって冷静だ。


その後、ローリングテイルを完封した聖なる剣は、危なげなくドラゴン討伐を成功させる。


全自動Sランク魔宝玉回収パーティー、ついに完成!


これでやっと、今まで彼女達に割いていた時間を自分のレベル上げにあてられるってもんだ。


さあ、レベル210を目指すぞ!

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