第65話 調整
翌朝、クレアや聖なる剣の面々と合流して俺は191階層以降の攻略を始める。
魔物のレベルは全て190台になるのでそこそこは強いが、最強職たる死霊術師の俺と、クレアの瞬間バ火力、それに聖なる剣の面々の補助で特に問題なく進んで行く。
え?
護衛さんの召喚はどうしたんだって?
勿論儀式召喚は無事成功し、昨晩話を聞かせて貰っている。
流石にレベルカンストしてるだけあって、色々と有益な情報を得る事が出来た。
いや、正確には、彼のレベルはカンストではないが。
護衛さんのレベルは256らしい。
そして彼の知る限り、レベルの上限は260だそうだ。
何故256なのにカンストを知っているのか尋ねたら、250以降のレベルアップは特殊で、上限が普通に確認できるシステムらしい。
まあそれを確認できるのは、250を超えてその特殊レベルアップが可能になってかららしいが。
さて、レベルキャップが10しか上がっていない事からも分る様に、予想通りアップデートは多くても2-3個程度と考えて間違いないだろう。
大量にアップデートがあったなら、もっと大幅にレベル上限が上がっていた筈だ。
そしてこのレベルの上昇だが、やはりと言うかなんというか、死霊術師の相対的弱体化が含まれていた。
まあレジェンド装備抜きでも、他職と比べて一線を画した強さがあったからな。
これは仕方がない事だろう。
251以降のレベルアップ時の強化ポイントなのだが、これまでになかった新要素として、SCP(スキルカスタムポイント)と呼ばれる物が手に入る様になっていた。
これはメインクラスで習得出来るスキルの、上限突破を行うのに必要な物だ。
このSCPを使ったスキルの強化だが、戦士の持つ戦士マスタリー辺りで説明してみよう。
戦士マスタリーはHPが50%上昇し、剣槍斧鈍器弓を装備時、筋力が100%上昇するスキルだ。
スキルレベルの上限は10だが、これを限界突破して11に上げると、その効果が2割上昇する事になる。
HPが50%上昇から60%上昇に。
特定武器装備時の筋力アップが100%アップから120%といった感じに。
1レベルだけだとそれ程でもないように感じるが、限界突破で15まで上げると、丁度元の倍の効果にまで上がる。
更に20まであげると3倍だ。
既存のマスタリー効果に加え、HPが追加で100%アップし、筋力も200%アップする。
これはアタッカーである戦士にとって、破格の効果と言って間違いないだろう。
こういうステータスが上がるマスタリー系については、大体一律だそうだ。
そのため、殆どのクラスにとってレベル250以降は大幅強化につながる物となっている。
またマスタリー以外のスキルでも大幅な強化が見込める物も多いらしいので、その辺りを個人の自由でカスタムしながら強化する楽しみもあるそうだ。
で、死霊術師の相対的弱体化なのだが……
死霊術師には一律効果のマスタリーが無く、更に、固有スキルの限界突破の効果がかなりしょっぱい物となっていた。
死霊術師の習得出来るスキルは、死霊術、死との親和、入れ替わり三つ。
死霊術の限界突破は、レベル1上げる度に配下のHPが5%上昇。
以上!
戦士のマスタリーと比べての落差ときたら……
まあ一応下僕のHPが上がれば、結果的に術師のHPも上がるのでゴミとまでは言わないが……ショボいと言わざる得ない。
次に死との親和だが、これはレベルを上げる毎にアンデッドモンスターに強くなるという効果だ。
1レベルにつきアンデッドに対して与ダメージが10%上がり、被ダメージが5%下がる。
上がり幅は悪くはないのだが、如何せんアンデッド限定と言うのが頂けない。
特定のモンスターに刺さる様なのは、汎用性が皆無だからな。
そもそも、高レベル帯でのアンデッドモンスターはかなり限られているし。
つうか、何でアンデッドに対するパワーアップなんだ?
普通この手の効果は聖職者系の効果だろうに。
意味が分からん。
まあ気を取り直して。
最後に入れ替わりだが、奇数レベルで使用時にHPが1%回復する効果が追加され、以降、奇数レベル毎にその効果が1%上昇する。
そして偶数レベル時にはMPが1%回復する効果が付き、これも偶数レベル毎に1%上昇する。
最大でHPとMP5%回復。
これが連打可能なスキルならそこそこ優秀なのだが、自身と下僕を入れ替えるこのスキルはクールタイムが2分と長い。
最短で2分に1度HPとMPが少量回復とか、誰得だよ。
まあという訳で、このSCPは死霊術師にとって大した恩恵のない物となっていた。
因みに暗殺者もマスタリー系はないが、個別のスキル効果はかなり強力な物だそうだ。
まったく、酷い差別である。
まあとは言え、それらを考慮しても、死霊術師が最強だという部分は覆ってはいないが。
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