第9話 サブクラス

更に2か月程レベリングをし、遂に――


「よし!レベル100到達だ!」


クラス:死霊術師

Lv :67→100

HP :112/112→145/145

MP :255/255→321/321

筋力 :108→127

魔力 :167→200

敏捷性:101→118


・スキル


死霊術【4→6】

死との親和【―】


ステータスの方はMPが相変わらずよく伸びており、筋力と敏捷性はこれまた相変わらず残念な感じのままである。

まあ死霊術師だから仕方ない。


スキルに関しては死霊術が4から6に上がった事で、下僕を同時に6匹まで使役できる様になっている。


「これでやっとサブクラスを取得できるな」


サブクラスと言うのは、メインの補助となるクラスだ。

此方は神に強制されるメインクラスと違い、自分で選ぶ事が出来た。


ま、とは言え、一度選ぶと変更が効かない点は同じな訳だが。


基本的にサブクラスはサポート的な物であるため、メインクラスに比べると性能は劣る。

例えばサブクラスには剣士・槍士・斧士というクラスがあるのだが、これらはメインクラスの戦士の劣化クラスとなっていた。


戦士は剣槍斧、それに弓を扱えるのだが、上記3クラスは名称の付いた武器にしか補正が乗らない。

更に、レベルアップによるステータスの恩恵や、取得するスキルの効果も小さかった。


そのため死霊術師がこの手のクラスを取得しても、劣化戦士にしかなれない。


「まあ、所詮サブだからな。重要なのはサブサブクラスだ」


死霊術師を最強クラスまで押し上げてくれるのは、アップデートで実装されたサブサブクラスである。

補助的なサブクラスとは違い、此方は特殊な能力を持つ物が多い。


そして死霊術師にとってのフェイバリットとなるのが――


サブサブクラスの鬼上官スパルタだ。

これが手に入ると、一気に世界が変わると言っても過言ではない。


「さて、サブクラスだけど……」


ステータスから考えると、魔法を扱えるクラスの方が相性は断然いい。

実際前衛をアンデッドに務めさせつつ、自分は背後から魔法で敵を倒すという選択は、通常狩りの幅と効率を大きく引き上げてくれるだろう。


また例の高速レベリングでもそうだ。

魔法系なら比較的強めの魔物を従えやすいため、攻撃手段でMPを消費する事を考えても、前衛系よりも高効率が叩き出せる。


なら魔法系のサブクラスで決定か?


残念ながら違う。

何故なら、最新アップデートの恩恵をより大きく受けられるのは近接能力だからだ。

しかも死霊術師最強の武器は剣だったりする。


「アップデート前は完全に魔法一択だったのに、急に物理上げだからな。最初内容を見た時は目が点になったぜ」


育っている死霊術師は、その殆どがサブクラスで魔法系を選択されていた。

まあ効率が全然違うのだから、それは当然の話だ。


だがそこにそれまでの苦労を嘲笑うかの様な、急な物理よりの優遇アップデートがやって来る。


最強にしたかったら0から作り直してねと言う、運営からの性格の悪いメッセージに、死霊術師を育てていた一部の準廃プレイヤーが発狂したのは言うまでもないだろう。


まあ純粋な廃人は、文句も言わずキャラデリから作り直しを淡々と行っていた訳だが……


文句を言う暇があったらレベルを上げる。

それが真の廃人という物よ。


まあその手の廃人は、アップデート情報から、死霊の指輪でレベル上げが遥かに楽になった事に直ぐに気付いていたからというのもあるが。


え?俺?


俺はそもそも、サブクラスを剣士にしてたからな。

お陰で他の廃連中に先んじて、レベルを上げる事が出来た。


まあこれは別に先見の明があったわけではなく、どうせ不遇職なら、とことん不遇のままいこうとしたらそうなっただけだが。


「という訳で、サブクラスは剣士だ」


俺は村へと一旦帰還し、そして教会で神に祈りを捧げてサブクラス――剣士を取得した。


因みにレベルは100でキャップがかかっており、サブクラスを取得して初めて101以上に上げられるようになっている。

これはサブクラスのレベルが、メインクラスに連動しているためだ。


サブクラスはレベル0スタートで、メインクラスのレベルが1上がる毎に一緒にレベルが上がっていく。

だからサブクラスを取得せず、メインを上げまくっておかしな事になってしまわない様、運営が意図的にキャップをかけているという訳だ。


「まあこの村ともおさらば……の前に、もう一稼ぎしとくか」


経験値の事ではない。

お金の方だ。


レベル上げに集中するには、お金が必要だからな。

武器も変えたいし。


今装備しているショートソードはもうボロボロだった。

毎日キッチリ手入れしていはいたんだが、無抵抗とは言え魔物を切りまくってきたので、流石に限界となっている。


消耗で装備が壊れてしまう。

これもゲームとは違う点だな。


兎に角、剣士のサブクラスも手に入れた事だし、次はもう少し強めの武器を購入する事にしよう。

多少重量があっても、今の筋力なら問題なく扱えるだろうし。


「んじゃま、土竜キノコの乱獲じゃい!」


俺は雑貨屋を兼任しているギルドへと向かい、キノコクエストを受けるのだった。

これ、金銭効率超いいし。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る